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「類型論と言語理論」

東京外国語大学大学院(博士後期課程『言語基礎論』)

2005年度
時間: 水曜日3限(通年開講)
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)
講義内容:

 本講では,言語の普遍性の研究を標榜する文法論の基本的概念が,どのように欧米で成立し,結果として一般言語学研究をどのように歪めているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 古典的言語類型論と形式類型論,2. 統語領域としての語,句,複合,文,3. 構造,支配,主要成分,従属成分,4. 主語性,5. 格,6. 述語とモダリティー,7. 文の相互関係:複文と並置
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』を基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の研究内容について,上記概念に関連する発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.13. 受講者顔合わせ,ガイダンス
4.20. 峰岸「言語の類型とその分布」
4.27. 峰岸「「脳科学は「文法」のありかを特定できるか?」:言語学の史的発展と「文法」観の変遷,類型論における原始モデル
5.18. 須藤秀樹発表:「現代漢語の"NP+在+場所名詞句+V着"中の動詞類型と名詞句の解釈について」
5.25. 太田ワランヤ発表:「タイ語の動詞連続」
6. 1. 向井晋一発表:「モンゴル語の焦点調整形式」
6. 8. 南條幸弘発表:「現代標準ロシア語の発話動詞における体の用法」
6.15. 峰岸「言語類型論から文法論へ」
6.22. インインメイ発表:「パラウン語の動詞について」
6.29. 「類型分類の再検討」:類型分類とは何か
7. 6. 「類型分類の再検討」(続き)フンボルトと古典的言語類型論
7.13. 「類型分類の再検討」(続き)サピアの類型分類と言語の形式化,河野の統語類型論
7.20. 「言語類型論から文法論へ」
10.12. 峰岸「ブルームフィールドと言語形式の諸定義(1)」
10.19. 峰岸「ブルームフィールドと言語形式の諸定義(2)」 形態論と統語論,内心構造,外心構造など。
10.26. 峰岸「服部四郎の付属語と付属形式,その他国語学の文法研究の潮流について」 構造主義的なものと国語学の伝統と。
11. 2. 峰岸「国語学の文法研究の潮流 (1) 阪倉篤義『語構成の研究』を巡って」
11. 9. (休講)
11.16. 峰岸「形態論か,統語論か」
11.30. 峰岸「国語学の文法研究の潮流 (2) 渡辺実『国語構文論』を巡って」
12. 7. 峰岸「国語学の文法研究の潮流 (3) 北原保雄『日本語助動詞の研究』を巡って」
2006.1.11. 峰岸「形態論と統語論」再説:X bar 理論まで
1.18. 南條発表「活動体名詞複数主格形と同形の対格形について」
1.25. 向井発表「モンゴル語ヴォイス形式の承接:動詞の自他と使役・受動の再編」
2. 1. ワランヤ発表「クーイ語の品詞」


「言語類型論研究」

東京外国語大学大学院(博士前期課程 『言語学IV』)
2005年度
時間: 火曜日3限(1学期開講)
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)

講義内容:
 本講は世界の諸言語において,文法論の基本的概念が,どのように実現されているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 語,形態素,句,複合体,文などの統語単位・領域,2. 文法範疇および語類の認定,3. 格表示と格,4. 動詞句,動詞連続,補助動詞,動詞句などの述語成分,5. モダリティー,6. Topic Comment構造
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』,角田太作『世界の言語と日本語』などを基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の専攻言語について,上記概念の具体的な現れについての発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.12. 受講者顔合わせ,ガイダンス
4.19. 松本克己「日本語の類型論的位置づけ」をもとに,言語学の基礎概念を解説する:「分類の分類と類型分類,恣意性と線状性,意味役割,項構造と述語の支配,格表示,SOVと統語構造,右分かれ,左分かれ構造」
4.26. 松本克己「日本語の類型論的位置づけ」をもとに,言語学の基礎概念を解説する:「語順類型とその分布,典型的言語としての日本語」5.10. コムリー「言語類型論入門」をもとに,言語類型論の基礎概念を解説する。
5.17. 木村発表「スペイン語の動詞を中心とした表現」文法範疇,法,時制,態,人称,数によるパラダイム,英語・フランス語などの動詞屈折の単純化と語順の固定化,主語の卓立化,Pro-Drop。
5.24. 西村発表「ロシア語の動詞を中心とした表現」表現機能とその現れに着目した記述:知覚,感情,感覚,存在,現象,天候,可能,義務,必然など。体と中動態(相)
5.31. 小栗,Anh 発表「ベトナム語の動詞を中心とした表現」語類の分布による定義:the は冠詞,副詞?,形容詞は名詞類か動詞類か?SV対VS:2項動詞は他動詞とは限らない,場面設定の句 Scene Setter, 語順と前提.
6.7. 戸渡発表「マラーティー語の動詞を中心とした表現」与格構文,ne-construction, 1・2人称現在,過去の動詞男性形,女性形
6.14. Lestari 発表「ジャワ語の動詞」 confix 共接辞(あるいはcircumfix 接周辞)の存在,所有接辞の Head Mariking 性,動詞の「態」は要再検討,不定範疇言語のひとつか?Topic (あるいは主題)の卓立性,動詞接辞法など,日本語,東南アジア大陸部諸言語との共通性。
6.21. 水野発表「ビルマ語の動詞を中心とした表現」ヨーロッパ,南アジアのパラダイムから東南アジアのシンタグマへ。
6.28. ボロルマー,セレンゲ発表「モンゴル語の動詞を中心とした表現」 用言のモダリティー部分の複雑性,不定範疇言語か?用言複合体関連の参考文献リスト(橋本進吉,風間,河野,南,水谷,宮岡など)配布。
7.5.高京美発表「韓国語の動詞を中心とした表現」 使役,受け身の文法接辞と派生接辞との連続性?
7.12 「日本語の用言複合体を考える」
 資料:風間伸次郎1992.「接尾型言語の動詞複合体について:日本語を中心として」. 宮岡伯人(編) 1992. pp.241-26
 宮岡伯人(編) 1992. 『北の言語:類型と歴史』. 三省堂.
 宮岡伯人. 2002.『語とはなにか --- エスキモー語から日本語をみる』. 三省堂.
7.19 風間伸次郎1992.「接尾型言語の動詞複合体について:日本語を中心として」. 宮岡伯人(編) 1992. pp.241-26
7.26 峰岸「言語類型論から外国語教育へ,言語類型論から文法論へ」


「アジア・アフリカ言語文化論研究」(比較言語文化論)

東京外国語大学大学院博士後期課程

2005年度
担当:加賀谷,新谷,バースカララーオ,中山,芝野,峰岸
時間: 月曜日3限
場所: (AA研3階セミナー室)
講義内容:

ゼミ形式で,受講生の研究発表をもとに討議を行い,専門的分析の指導と研究発表の訓練を行う.