lecture04

「類型論と言語理論」

東京外国語大学大学院(博士後期課程『言語基礎論』)

2004年度
時間: 火曜日2限
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)
講義内容:

 本講では,言語の普遍性の研究を標榜する文法論の基本的概念が,どのように欧米で成立し,結果として一般言語学研究をどのように歪めているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 古典的言語類型論と形式類型論,2. 統語領域としての語,句,複合,文,3. 構造,支配,主要成分,従属成分,4. 主語性,5. 格,6. 述語とモダリティー,7. 文の相互関係:複文と並置
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』を基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の研究内容について,上記概念に関連する発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.13. 受講者顔合わせ,ガイダンス,発表順の決定
4.20. 「類型分類の再検討」
4.27. 「類型分類の再検討」(続き)フンボルトと古典的言語類型論の時代背景
5.11. 「類型分類の再検討」(続き)フンボルトの孤立語観,サピアの類型分類と言語の形式化
5.18. 「類型分類の再検討」(続き)河野の類型論,統語類型論
5.25. 須藤発表「現代北京語の動詞分類の再検討」
6.1. 鵜沢発表「マレーシア語の修飾構造に関する考察 --- 状態詞を中心として ---」
6.8. 志波発表「日本語の動作主あり受身 (Agentive passive) と受影性」
6.22. 休講
6.29. ミロスワバ発表「対話場面における社会心理言語行動の研究 --日本語とポーランド語の会話を対照に」
7.6. 伊藤発表「中国語の ba 構文に関わる問題点」
7.13. 志波発表「現代日本語の受け身文 --- 研究史をめぐって ---」
10.5. 峰岸発表「コミュニケーション障害の言語学的分析 --- 言語理論再構築に向けて」
10.12. 峰岸発表「コミュニケーション障害の言語学的分析 --- 日本語談話分析の試み」
10.19. 峰岸発表「松本克己:主語について」を読むために:臨床の知について
10.26. 峰岸発表「統語上の諸概念について(1)」パーニニの kaaraka 論
11.2. 峰岸発表「統語上の諸概念について(2)」 アラビア語文法学と情報構造
11.9. 志波発表「2つの受身と2つの自然(じねん)」
11.16 休講(タイ,ラオス出張)
11.30 峰岸発表「言語の類型とその分布」
12.7 ミロスワバ発表「話し言葉の研究,その方法論に関わる問題点について」
12.14 ミロスワバ発表(続き)及び峰岸発表「言語における単位の考え方:服部四郎,Bloomfield を例に」
2005/1/18(年明1回目) 伊藤発表「把構文の主語の諸類型と連続性」
1/25 峰岸「まとめ:文法のありか」


「言語類型論研究」

東京外国語大学大学院(博士前期課程 『言語学IV』)
2004年度
時間: 火曜日3限
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)

講義内容:
 本講は世界の諸言語において,文法論の基本的概念が,どのように実現されているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 語,形態素,句,複合体,文などの統語単位・領域,2. 文法範疇および語類の認定,3. 格表示と格,4. 動詞句,動詞連続,補助動詞,動詞句などの述語成分,5. モダリティー,6. Topic Comment構造
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』,角田太作『世界の言語と日本語』などを基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の専攻言語について,上記概念の具体的な現れについての発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.13. 受講者顔合わせ,ガイダンス
4.20. 松本克己「日本語の類型論的位置づけ」をもとに,言語学の基礎概念を解説する:「線状性,形態論と統語論」
4.27. 松本克己「日本語の類型論的位置づけ」をもとに,言語学の基礎概念を解説する:「語順類型,意味役割,項構造,格表示,語彙的要素と機能辞,統語構造,右分かれ,左分かれ構造」
5.11. 松本克己「日本語の類型論的位置づけ」をもとに,言語学の基礎概念を解説する:「言語系統論,音声学,音韻論」
5.18. 休講
5.25. コムリー「言語類型論入門」
6.1. ジルー発表「フランス語の動詞について」
6.8. ファトヒー発表「アラビア語」
(6.15 は総括班会議のため,AA研内休講,以下予定)
6.22. 休講
6. 29 浜津発表「ドイツ語」
7.6. 鈴木発表「英語」
7.13. 坂田発表「フィンランド語」
10.5. 峰岸講義「松本:主語について --- 欧米,インドの言語理論と主語論」
10.12. 中村発表「ウルドゥー語」
10.19. ワランヤ発表「タイ語」(動詞連続の考え方)
10.26. メイ発表「ビルマ語」
11.2. 東江発表「ラオス語」
11.9. 張発表「中国語:平江方言」
11.16 休講(タイ,ラオス出張)
11.30 崔発表「朝鮮語」
12.7 峰岸「言語の類型とその分布」
2005/1/18(年明1回目) 峰岸発表「言語の類型とその分布」(後半:フンボルト,河野,峰岸)
1/25 峰岸「まとめ:言語類型の形式モデル化」


「アジア・アフリカ言語文化論研究」(比較言語文化論)

東京外国語大学大学院博士後期課程

2004年度
担当:梶,加賀谷,新谷,バースカララーオ,中山,芝野,峰岸
時間: 月曜日3限
場所: (AA研3階セミナー室)
講義内容:

ゼミ形式で,受講生の研究発表をもとに討議を行い,専門的分析の指導と研究発表の訓練を行う.


東京大学大学院・文学部共通科目

2004年度
時間: 金曜日4限(夏学期開講)
場所: 東京大学
講義内容:

東南アジア大陸部には,オーストロアジア,タイ・カダイ,チベット・ビルマ,ミエン・ヤオ系の諸言語が,モザイク上に分布している。これら,いわゆる孤立語的な声調言語は,その北に分布する東アジアの諸言語とともに,大きな言語地域をなしているとも考えられる。講義前半では,東南アジア諸言語の音韻,形態,統語上の特徴を概説し,その類型的特徴が言語記述・言語理論上,どのような含意を持つかを検討する。
講義の後半は,前半での議論で定義された理論上の問題を,受講者各自の研究テーマに関連させて発表してもらい,議論を行いたい。発表は大学院生を中心とする。成績評価は各自の研究テーマに関わる個別言語あるいは理論上の問題についてのレポートで行う。
4.16. 導入
4.23. 自然環境,民族,文化から見た東南アジア
4.30. 言語系統論から見た東南アジア
5.7. 音韻から見た東南アジア:概説,子音,母音,音節,声調,タイ語音韻の特徴
5.14. タイ語の文字と声調分岐
5.21. タイ語の子音変化,クメール語の文字と母音分岐
(5.28. 五月祭のため休講)
6.4 クメール語の音韻特徴,母音分岐と方言における合流
6.11. 東南アジア全般の音韻特徴のまとめ,形態から見た東南アジア:導入,孤立語性とは?接頭辞,接中辞などの派生,理論と言語事実 xbar とinfix,統語論・形態論と語彙の切れ目:ソシュール,ブルームフィールド,チョムスキー
(以下予定)
6.18. 言語類型論と孤立語の理論的意義
6.25. 形式類型論の提唱
7.2. 孤立語から見た言語理論1(格,支配・依存関係)
7.9. 孤立語から見た言語理論2
7.16. まとめ


「モン・クメール諸言語」

大阪外国語大学外国語学部・大学院共通(夏期集中講義)

講義内容:

カンボジア語の初歩を学びつつ、その言語学的な地位を概説する。
テキスト:上田広美著『CDエクスプレスカンボジア語』 (白水社、2000年)