lecture03

「類型論と言語理論」

東京外国語大学大学院(博士後期課程『言語基礎論』)

2003年度
時間: 火曜日3限
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)
講義内容:

 本講では,言語の普遍性の研究を標榜する文法論の基本的概念が,どのように欧米で成立し,結果として一般言語学研究をどのように歪めているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 古典的言語類型論と形式類型論,2. 統語領域としての語,句,複合,文,3. 構造,支配,主要成分,従属成分,4. 主語性,5. 格,6. 述語とモダリティー,7. 文の相互関係:複文と並置
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』を基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の研究内容について,上記概念に関連する発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.15. 受講者顔合わせ,ガイダンス,発表順の決定
4.22. 峰岸発表「類型分類の再検討 --- 孤立語の視点から」(1. フンボルトの古典類型論)
5.6. 鵜沢発表「マレーシア語の知識」
5.13. 結城発表「満州語について」
5.20. 小川発表「ウクライナ語」
5.27. 拝田発表「Head-marking and Dependent marking Grammar」
    主要部標示型では動詞第一位語順が好まれるのはなぜか?主要部をどう定義するか?無標示型言語をどう扱うか?
6.3. 海老原発表「チベット語について」
6.10. 峰岸発表「類型分類の再検討 --- 孤立語の視点から」(2. サピアの類型論)
6.17. 峰岸発表「類型分類の再検討」(続き)
7.1. 「言語類型の形式モデル化」
7.8. 「言語類型の形式モデル化」(続き)
7.15.「言語の構造性をめぐって」
7.22.「言語の構造性をめぐって」(続き)
10.7. 鵜沢発表「マレー語」
10.14.松本論文「主語について」の検討, kaaraka, vibhakti, primary suffix の関係を中心に
10.21. 松本論文「主語について」の検討(続き)
11.4. 峰岸「言語の構造性をめぐって」(三たび)
11.11. 柴谷論文「言語類型論と対照研究(対格型言語と主語,ヴォイス,および項構造)」
11.18. 柴谷論文「言語類型論と対照研究(能格型言語)」(11/25 は学園祭のため休講)
12.2. 柴谷論文「言語類型論と対照研究(フィリピン型言語)」の関連問題 Voice, 自他, 対格,能格など
12.9. 海老原発表「チベット語の動詞と動詞に関する表現」
2004.1.20 小川発表「ウクライナ語の動詞」


「言語類型論研究」

東京外国語大学大学院(博士前期課程 『言語学IV』)
2003年度
時間: 火曜日2限
場所: (AA研3階304マルチメディア会議室)

講義内容:
 本講は世界の諸言語において,文法論の基本的概念が,どのように実現されているかを,言語類型論的立場から考察することを目標とする.
最初に古典的類型論の概要を解説し,形式類型論の基礎概念を導入した上で,以下のような諸概念を取り上げる予定である.
1. 語,形態素,句,複合体,文などの統語単位・領域,2. 文法範疇および語類の認定,3. 格表示と格,4. 動詞句,動詞連続,補助動詞,動詞句などの述語成分,5. モダリティー,6. Topic Comment構造
g. 教材,参考書:コムリー1992『言語普遍性と言語類型論』,角田太作『世界の言語と日本語』などを基本とし,テーマに応じて,和文,英文のプリントを用意する.
h. 成績評価の方法:受講者の専攻言語について,上記概念の具体的な現れについての発表およびレポートを求め,評価を行う.発表に対するコメント,質問の積極性も評価の対象とする.
i 履修上の注意:講義と受講者の発表の組み合わせで進行するため,出席を重視する.初回は講義内容,方針,場所の打合せをするため,必ずAA研棟6階,峰岸研究室に集合のこと.

4.15. 受講者顔合わせ,ガイダンス,言語機能とその現れ方の例:「境界表示機能」と声調,アクセント規則,Sandhi,ドイツ語名詞句内部の強変化,弱変化
4.22. 類型論とは? 比較と対照,言語普遍論,古典的類型論,フンボルト,サピア,河野六郎
  課題:コムリー「言語類型論入門」言語プロファイルと名詞を中心とする諸言語の表現
4.29. 語順の類型論:SVO,SOVなど,語順は類型分類として正当化されうるか?
5.13. Standard Average European (Whorf 1939), 名詞を中心とする表現についてのいくつかの観点:フランス語を例に.
   必須の文法範疇,性,数,定/不定
   統語領域(文法上の単位)の構成素の記述と構成素の数,順序の制限(冠詞,数詞,形容詞,名詞)
   統語領域を表示する機能としての「一致」
   格表示の史的消失と,語順の固定化,仮主語,分裂文の出現
5.20. 名詞を中心とする表現について:ドイツ語を例に.
   必須の文法範疇,性,数,格,定/不定
   一致:名詞句内の形容詞の強変化,弱変化
   ある統語領域を仮定した場合の,構成素 (constituent) の要素,順序等の記述
5.27. 名詞を中心とする表現について:ドイツ語およびポルトガル語を例に.
   (動詞の支配,ドイツ語分離動詞,ドイツ語の動詞位置と節境界,性,数,格の一致現象の地理的分布)
6.3. 名詞を中心とする表現について:タイ語を例に.
   (タイ語の語順,名詞句,類別詞,指示詞,関係詞.文と複合名詞.)
6.10. 名詞を中心とする表現について:アラビア語を例に.(アラビア語の概要,名詞の定・不定,主格,対格,属格)
6.17. 名詞を中心とする表現について:アラビア語を例に(続き).
6.24. 名詞を中心とする表現について:ヨーロッパからアラビア語,タイ語までのまとめ,
7.1.名詞を中心とする表現について:日本語を例に.
7.8.名詞を中心とする表現について:日本語を例に.(続き:鈴木重幸の文法観) Exclusive OR|Cumulative AND
7.15. 名詞を中心とする表現について:モンゴル語を例に.
7.22. 名詞を中心とする表現(まとめと夏休み課題)
10.7. 名詞を中心とする表現:中国語を例に
10.14.名詞および動詞を中心とする表現:マレー語を例に
10.21. 名詞および動詞を中心とする表現:マレー語,パラオ語を例に
10.28. 名詞および動詞を中心とする表現:パラオ語を例に(続き)動詞を中心とする表現:中国語を例に
11.4. 動詞を中心とする表現:日本語を例に
11.11. 動詞を中心とする表現:日本語を例に(続き)パラダイムから直接構成素分析へ,語と句,形態論と文論:日,マレー,中,タイ語の「態」四角形
11.18. 動詞を中心とする表現:タイ語を例に(11/25 は学園祭のため休講)
12.2. 動詞を中心とする表現:タイ語を例に(続き)
12.9. 動詞を中心とする表現:アラビア語を例に
12.16. 動詞を中心とする表現:アラビア語を例に(続き)
2004.1.20. 本年度のまとめ「名詞を中心とした表現」
2.27. 「動詞を中心とした表現,語,シンタグマ」結論


「アジア・アフリカ言語文化論研究」(比較言語文化論)

東京外国語大学大学院博士後期課程

2003年度
担当:梶,加賀谷,新谷,バースカララーオ,町田,芝野,峰岸
時間: 月曜日3限
場所: (AA研3階セミナー室)
講義内容:

ゼミ形式で,受講生の研究発表をもとに討議を行い,専門的分析の指導と研究発表の訓練を行う.