カンボジア文字から何がわかるか

カンボジア語の子音の音韻変化

もともと、 k, kh, g, gh, ng というインド系の音価を持っていたと考えると、

有声音から無声音への合流変化があった。

g は k に、gh は kh に変化した。

(タイ語では、有声音から無声有気音への合流変化があった。)

結果として、無声音の同音異字ができた。

k, kh, k, kh, ng

母音の分岐

元々無声系であったか、有声系であったかにより、母音が二つに分かれた。

その結果、13種類もの母音が生じた。

元来は子音の無声、有声の違いがあったと考えられる。

例、*kaa / *gaa

多くの有声子音の後で、子音の違いに伴い、母音が狭くなった。

例:*kaa / *gea

子音に代わり、母音が意味の違い(対立)を担うようになった。

例:kaa / kea

さらに、地域によって複雑な母音体系が再統合されつつあり、これが現代の方言差となっている。

(タイ語の場合は、母音の音質ではなく、声調が分岐したが、非声調言語であるカンボジア語では、複雑な母音、子音の組み合わせを表現できるように工夫された。)

このような推定ができるのも、元々のインド文字が音節文字であったためである。