目的
本研究は、言語の危機に対する関心が世界的に高まりつつある今日的状況にかんがみて、存亡の危機がせまっていながら調査研究が立ちおくれている言語、なかでもカナダ北西部からアラスカにかけて話されているエスキモー諸語(アラスカ・ユピック語、イヌピアック語、シベリア・ユピック語)と海岸ツィムシアン語にかんして、研究協力者2名(永井忠孝[イヌピアック語、東京大学大学院生] 、永井佳代[シベリア・ユピック語、京都大学大学院生])に参加をもとめて、現地調査を緊急におこなうことによって、記述言語学の立場から音声・文法・語彙といった資料を蒐集し、文法、辞書、テキストの公刊を目指した包括的研究の基礎をかためることを目的とする。
これらアラスカ地域において話されている言語は、言語学的に興味深い問題を様々に示しているが、まとまった記述資料はほとんどないといってよい。本研究の遂行によって、学術的に有意義な資料が蒐集できることが期待される。また、それだけではなく、研究成果を現地に還元することによって、文化遺産ともいえる少数民族の言語の保存とその継承に貢献しうるところも大きいといえる。国内において、本研究に携わる研究者がそれぞれの言語の唯一の研究者であるだけではなく、国際的に見ても、恒常的にこれらの言語の現地調査をおこなっている研究者はほとんどいないことから、本計画に寄せられている期待は大きい。
研究組織
氏名
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所属研究機関・部局・職
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役割分担
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研究代表者 | 宮岡 伯人 | 京都大学大学院・文学研究科・教授 | 総括及びエスキモー語調査 |
研究分担者 |
笹間 史子
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日本学術振興会・特別研究員(京都大学大学院・文学研究科) | 海岸ツィムシアン語調査 |
海外共同研究者 | Margaret Seguin Anderson | ノーザン・ブリティッシュ・コロンビア大学地域コーディネーター | 海岸ツィムシアン語調査協力 |
Vera Kaneshiro |
アラスカ大学アンカレッジ校講師 |
シベリア・ユピック語調査協力 | |