『オスマン帝国完全詳細地図帳』イスタンブル、進歩書店発行、西暦1909/10年(印刷:計画社印刷所)。
指揮官メフメト・ナスルッラー、副官メフメト・ルシュディー、中尉メフメト・アシュラフによる共著。

Memalik-i Mahruse-i Shahane-ye Mahsus Mukemmel ve Mufassal Atlas
Istanbul, Tefeyyuz Kitabhanesi,1325.(Shirket Murettebiye Matbaasi)

見開きの記述によると、この出版物は、オスマン政府文部省の、オスマン財務暦1323年 Haziran月21日(西暦1907年6月21日)付・154/2645番の許可を得て印刷されたものです。いわゆる「青年トルコ人革命」が成就したのが1908年7月。オスマン帝国末期の、近代国民国家への道が激しい政治変動の中で模索されていた時代に、本地図帳が制作されていたことがわかります。縦20.5cm×横14.5cmで、本文部分135頁、折り込みの地図35葉からなる本地図帳は、青年トルコと思しき軍人たちが作成した、携行できるようなポケット版の実用書で、近代オスマン人たちが自分たちの国を具体的にイメージし、構想するのに役に立ったものと思われます。本文部分では、オスマン帝国の地理「ジャグラフィヤ」――国境や山河の構成について――が簡明に説明され、次いで各州ごとに県の構成、主要都市、産物などが簡潔に記されています。地図は、各州の輪郭の違いに応じて、それぞれ縦横の長さが異なるのですが、上のサイズに収まるようにきれいに折りたたまれて、本文の後ろに一括して挟み込まれています。それらの地図をどうぞご覧ください。