東南アジアにおける人の移動と文化の創造}

プロジェクト分科会 「人の移動と政治思想・意識の形成}

平成9年度第2回研究会

 

1997年11月4日(火)午後2時より5時

AA研セミナー室

出席者全員

池端雪浦(AA研所員)、川島緑(上智大学)、栗田博之(東京外国語大学)、栗原浩英(AA研所員)、小林寧子(愛知学泉大学)、永田淳嗣(東京大学)、西井凉子(AA研所員)、弘末雅士(天理大学)

 

 

内容:

今回の分科会においては、「人の移動と政治思想・意識の形成」というテーマに関して、東南アジア各地(フィリピン、インドネシア、マレーシア、南タイ、ベトナム、オセアニア)でどのようなケーススタディが想定されるかについて出席者全員がそれぞれの観点から具体的な事例を報告し、討議を行った。その内容はフィリピン革命期の連邦思想(池端)、フィリピン・ムスリム・ウラマーの中東留学と社会変革思想(川島)、オセアニアにおける人の移動(栗田)、現代ベトナムにおける人の移動と政治運動との関係(栗原)、インドネシア人ムスリムの聖地への巡礼と学問希求(小林)、東南アジア資源フロンティアの政治生態学(永田)、南タイにおける移動の諸形態(西井)、「食人」にみられるヨーロッパ人の調査活動と介在者の関係(弘末)など多岐にわたったが、報告と討論の過程で、ケーススタディを通じて人の移動によって新しい政治思想が形成される条件を解明する必要性や、人の移動において介在者が果たす役割の重要性、あるいはオセアニアのように移動や政治思想とは無縁な地域もみられることなどが指摘されたことは、これからプロジェクトを進めるうえで大いに富む問題提起となったといえよう。(栗原浩英)