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| ■伝承04. グロ族との別れ |
| われわれの祖先が立ち去ってきた土地というのは、われわれはむかしグロの者だった。われわれの祖先は北のグロの土地にいて、そこを立ち去り、南へと降りてきてこの土地を建てたのだ。
われわれの祖先のダマー Dhamaaは「ここを立ち去って、自分の名がついた土地を建てることにしよう」と言った。それからこの土地にやってくるまでに、彼は北の土地を通りすぎてきた。 北の土地を通りすぎてきたとき、ダマーはまずカレ Kadh そもそもダマーが移り住むようになったのは、セリ Sedhiというグロの友人から逃れるためだった。ダマーとセリの二人が、年ごろもだいたい同じだったのにイエを分けてしまったというのは、ダマーの息子がセリの妻を寝取ったことからはじまった。われわれが今こうしてくらしている土地の祖先が、ダマーの方だぞ。 さて、このときセリは「わたしは女についての罰金をただではすまさない。おまえの息子をよこせ。殺してやる」と言った。そこでダマーは「えっ! われわれ二人で村を建てたというのに、そのおまえがわたしの息子を殺すとは、いったいどうしたことだ。おまえに謝ろう。このことについては、ウシ二頭をさしだして、おまえのことばをなかったことにしようではないか」と言った。だがセリは、だめだと言う。ダマーがウシを四頭にするからと言ってもゆずらない。とうとうダマーは「そら、わたしの息子だ。殺すがいい」と言った。セリはダマーの息子を捕まえて小屋に連れていき、その場で首をかき切った。 そうはいっても、悪いことがらというのは、長続きするものでない。こんどはセリの息子がダマーの妻を寝取ってしまった。こんどはダマーが、女の問題をかたづける番になったのだ。セリは言った。「人は悪いことを二度もしないということわざがある。ゆるしてくれ」。ダマーはだめだと言った。セリがウシ四頭で謝ろうとしても、ダマーはゆるさない。とうとうセリも、自分の息子をダマーにさし出したのだ。だがこのとき、ダマーは「人のふるまいに同じふるまいは二つとない」ということわざをセリに向かって言ってやった。 それというのも、このときダマーの娘には、まだ夫がいなかったのだ。そこでダマーは、自分の娘とセリの息子にこう言った。「あそこの小屋の裏手に、わたしが用を足しに行く場所があるだろう。おまえたちは、そのあたりの森にでも小屋を建てなさい」と言ったのだ。 独り身だったダマーの娘、それからダマーが殺すはずだったセリの息子の二人は、その場所の小屋にくらした。二人は森に行き、そこにおちついた。ダマーはこの一件をどうしたものかと考えていたが、二人は森に行って小屋を建て、女と男がすることをしていたのだ。 やがて二人のあいだに子どもが生まれた。娘に最初の子どもが生まれたとき、ダマーは「いずれこの土地を去ろう。だがまだその時ではない」と言っていた。その次の子どもが生まれると、ダマーは「よし、この土地を去るときがきた」と言ったのだ。 森に建てられた小屋には、子ども二人とセリの息子、ダマーの娘の四人がくらしていた。このうち二人めの子どもが歩きはじめたのを見ると、ダマーは「わたしが自分の土地を建てるときがとうとうやってきた」と言った。そういうわけで、彼はウマに乗って行くことにした。旅立ちの前日、森の小屋から村にむかう道がきれいに整えられた。刈り取られた草の束がそこに置かれた。夕方になるとダマーは服を着替え、村の中を雄々しく踊りまわった。翌朝早く、彼は自分のイエの者たち全員に「荷物のしたくをするのだ。わたしの名前で呼ばれるわたしの土地を建てるために、この土地を立ち去るときがやってきたのだ」と告げた。 ダマーは、いよいよ道の上に立った。彼のイエの者たちもみな、それぞれ荷物を頭の上にのせている。するとドゥッ! セリがやってきたのだ。「わたしがしたことは善くなかった。おまえにウシ四頭で謝ろうではないか」。ダマーは「いや。この土地はおまえに明け渡すことにしよう。わたしの土地はわたしで探してみせるから」とこたえた。ダマーは別れを告げ、一行はシピルー Siipl ダマーの者たちはこうしてまずカレの土地に向かった。カレのドウバー村 D 話を聴いた村の者たちは「わかった。おまえはわたしたちの客人だ。ようこそ」と言った。ダマーは「そうですか。ならば、わたしはここに着きました。わたしがおちつく場所を少しだけください」と言った。そこで村の者たちは、小屋の裏手の場所をダマーに示してみせた。ダマーは「わかりました。そこの場所に今から少しのあいだ、自由におちつかせてもらいます」と言った。その跡地は、今でもドウバー村にある。その跡地にはこうして“ベントロー B おちつく場所を与えられたので、ダマーは申し出た。「わたしたちのことを話しましょう。わたしたちとセリのあいだに起きたことは、ひどいものでした。ですから、わたしが連れてきたわずかばかりの妻たちが、たとえあなた方と通じたとしても、わたしはとやかく言わないことにしましょう」。これに対してドウバー村の者たちも「あなたとは女のことがらで争わないようにしよう」と約束した。カレの者たちとわれわれロレの者とは、今でも女のことがらで争うことがない。そのいわれというのは、こうしたわけなのだ。 ダマーの者たちがドウバー村におちついていたとき、北の土地からやってきたトロ・バンバ Tr ダマーの一行がビのところにたどり着くと、ビは「そうか。ならば、わたしのアニのラ Laがあそこにいるから」と言って、別の案内役を彼らにつけた。こうしてダマーはふたたびヌオン川を渡り、ブロッセ Bloodh ダマーがラのところにたどり着くと、ラはオトウトのビに呼びかけた。「おまえがもてなした客人をわたしに託すといっても、わたしもこの客人を自分のところに止めおくことはできない。そこで、わたしとおまえのあいだにある土地を、少しだけこの者に分けてやろうではないか」。われわれロレの土地が、ブロッセの土地とビオの土地のあいだに建てられたというのは、そうしたわけなのだ。 マーヴァというのは、われわれの偉大な祖先の名だ。ダマーの偉大さをたたえるための名が“マーヴァ”なのだ。“偉大な者”ということだ。 (Bhaada |
| ■語句 |
| カレ Kal ロレ Loll シピルー Sipilou:図2参照 年老いた村の長:ゴの結社長のこと ブロッセ Bloss マーヴァ Maava:伝承27・09参照 |
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