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| ■伝承03. グロ族との誓い |
| われわれダンとグロは、むかし一つの村にくらしていた。われわれダンとグロの村は一つだった。われわれのイエはそこにあった。われわれとグロは同じ者だった。そこにはマウやフルベの者たちもいたのだが、われわれだけはそこを去り、南へと降りてきた。そうしてわれわれの祖先は、ズレアン山 Zl われわれの祖先は、川の流れに沿って南へと歩いてきたのだ。戦争がひどくなり、戦争が人々を散り散りにさせたからだ。そうでなければ、何のいわれもなくわれわれの祖先が南へと降りてくるはずがない。白人がやってきて、戦争が人々を散り散りにさせたのだ。 そのころは、まだ誰も白人のことを知らなかった。むかしの人々は、白人を見ると「殺してしまおう。やつらは脂がのっているぞ」と話していた。白人が人殺しの品物を持っていることなど、知らなかったのだ。白人は戦士の持ち物を持っていた。それなのにわれわれの祖先ときたら、白人を食べ物だとばかりおもっていた。われわれの土地にやってきた白人はすてきな品物をくれたのだが、そのあとで多くの人間が殺されてしまった。そこで祖先たちは移り住んだものだから、われわれは今この土地にくらしているというわけだ。マウ族の者たちはそのまま北の地にとどまったが、われわれの祖先はカヴァリー川の流れに沿って、南へと降りてきた。 われわれはむかし、グロの者たちと同じ名前で物を呼んでいた。だが、南の土地に降りてしまうと、われわれは彼らの物の呼び方を忘れてしまった。彼らもわれわれの物の呼び方を忘れてしまった。たしかに白い布のことを、彼らは今でも「ソ・プー s 白人がやってきてわれわれを離してしまう前、ことばは一つだった。白人がまだこの土地にやってこないころ、グロとダンのことばは一つだった。マウ族はマンデの者たちだ。だから彼らには彼らのことばがあった。でもグロとマウとダンが同じだと言われるのは、われわれと彼らのあいだに“誓い”があるからだ。 今のギニアにくらす者たちとわれわれとのあいだには、ヌオン川が流れている。グロとわれわれのあいだには、ヌオン川も流れていない。われわれとグロのあいだにはカヴァリー川が流れ、それより大きなササンドラ川が流れている。ダン族、グロ族、マウ族、われわれすべてにとっての川とは、ササンドラ川だった。ただし、われわれの祖先がむかし渡って「さあ着いたぞ」と言った川というのは、カヴァリー川なのだ。カヴァリー川は、われわれの土地の真ん中を流れている。ダンとグロの土地の真ん中を流れている。われわれの祖先は、セミアンから来た。今ではマウの者たちの土地だが、グロとダンがくらしていた跡地は、今でもセミアンに見つかるはずだ。そこの森はマウの土地だ。セミアンとは、セゲラの近くの土地だ。 人が“誓い”と呼ぶものをわれわれの祖先は食べた。“誓い”とは人を殺すものだ。われわれと彼らのことばは同じで、くらしていた土地も同じだった。だから今でも、一人の者がおまえのところにやってきて、おまえの持ち物をこわしてしまったとしよう。そしておまえがダンの者で、物をこわしたのがマウかグロの者だったとしよう。彼はまず、おまえに「わたしの父の息子よ」と呼びかけるだろう。かつてともにくらしていたのに別れてしまった者たちのあいだでは、ふつう「わたしの父の息子よ」と呼び合うだろ。この呼びかけのあとで「おまえの持ち物をこわしてしまって、すまない。だが、われわれのあいだでは持ち物も一つだ」と、その者は言うだろう。するとおまえは「おれの持ち物をつぐなえ」などと言わない。そんなことを言えば、むかし共にくらしていた偉大な祖先たちのきずなの糸を、おまえが断ち切ることになるからだ。そんなことを言えば、おまえの小屋は“誓い”の呪いで、やがて崩れていくだろう。 グロの者がダンの者をなぐって戦争がはじまってしまえば、グロの者は自然に死んでいくだろう。グロの小屋は自然に崩れていくだろう。また、ダンの者がグロの者をなぐり返して、白人の裁判所にもちこんだりすれば、ダンの小屋は崩れていくだろう。 祖先が“誓いの呪い”を食べているからなのだ。われわれと彼らのことばは違ってしまったし、もうむかしのように隣りあってくらしてはいない。だが、われわれと彼らのあいだには、今でも“誓い”がある。だからグロの者は、ダンの者にけっして悪事をはたらかないというわけなのだ。 (G |
| ■語句 |
| グロ族 Gouro:コートディヴォワール中西部の南東マンデ系民族 マウ族 Mahou:コートディヴォワール・トゥバ地方の北マンデ系民族 白人 kwi:フランス人(ただしダン南下は植民地化によるものでない) カヴァリー川 Cavally:図1参照 マンデの者 m 誓い dhanga:儀礼的な誓約行為。“誓いを食べる”と表現される ヌオン川 Nuon:ダン居住域内でリベリアやギニアとの国境を形成する川 ササンドラ川 Sassandra:図1参照 わたしの父の息子:伝承34参照 |
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