II. ダン語口頭伝承の世界


伝承01. 七つの世界と市場

 世界がつくられたというのは、こうしたわけだ。はじめに、ただの暗やみがあった。そのあとで、神が世界をつくった。山や川や森も、神がつくった。人間があらわれたのは、神が土に息を吹きかけたからだ。山や川や森は、神が息を吹きかけてできたものではない。

 神のいるところは、人間に知りえない。神は七つの世界をつくった。ダン・ヌウ dhang nue、ダン・ゾイ dhang zoi、ダン・パーピウ dhang paapio、グルーボ・デ gloobo dhe、グルーチウ・デ glootie dhe、プーゲー・デ puugee dhe、そしてこの地上だ。このうち、神がどの世界にいるかを知ることはできない。だが人間の考えでは、支配する者というのはいつも上にいるものだ。だからわれわれは「神は天にいる」と言うのだ。

 この七つの世界は、どれも神がつくったものだ。ダン・ヌウには、われわれとちがう種類の人間がくらしている。ダン・ゾイやダン・パーピウにも、別の種類の人間がくらしている。われわれの地上は、この三つと、残りのグルーボ・デ、グルーチウ・デ、プーゲー・デとの間にある世界だ。

 神が最初に地上へ送ったのは、ウ Weという者だった。そうして神は、市場をつくった。ペロンドゥ Pelondhoという名の市場だ。ウもこの市場にいたのだ。

 ウが地上にやってきたときは、男も女もいなかった。そこで神は、女と男を一人づつウのところに送った。だが、女と男のあいだに生まれた子どもは“もの”だった。“もの”というのは、ウと同じような“もの”だった。

 ボヌグルー Bhoneglooという市場もあった。この市場が開かれる前の晩、男と女は市場に行った。男と女は別々の場所に寝たのだが、やがて男が女の体をさわりにやってきた。男がやってきたので、女は「なに?」とたずねた。男は「おまえが気にいった。おまえのそばにきた」と言った。女は「だったら、あとでわたしに何をくれるの?」とたずねた。男は「パーニュを二枚買って、おまえにやろう」と言った。女は、もう何もたずねなかった。

  神は、男には男の場所を、女には女の場所をそれぞれ与えていたのだから、二人はともにくらしはじめた。そして二人は、女の子をもうけた。子どもが生まれると、女なら“ちいさな女”、男なら“小さな男”と名づけていったのだ。

(Zoo Nioongbo/ニアフォトゥオ村出身の古老/1989.04.17/Glogleu村/未転写)



語句

もの pe:人間ではない精霊のこと
パーニュ pagne:腰布
男の場所・女の場所:男性器・女性器

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