チベット語辞典編纂室日誌1998年 |
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千葉さんにラサ口語チェック済み原稿(コピー)送付。速達。89頁まで。 一時入室。 大川氏の新しい仕事として、見出し語にピンクのマーカーをつけてもらう。 ka, khaまで終了。午後二、三時間の仕事。 これは第一次校正作業が始まったということを意味する。 大川氏にはかなり問題点を見つけてもらう。 十時半入室。 ラサ口語辞書対照チェック。khaまで終了。これまでCatFindを利用 してチェックをしていたが、ピンクのマーカーのある辞書を見ながら チェックすると、相当作業が早くなることが分かった。CatFindは必要 に応じて用いることにする。 梓沢さんにもマーカー付けの仕事を依頼することにする。 大川氏が上巻、梓沢さんが下巻というスタート。後に上下巻を交換して チェックを行う予定。 小梅ちゃん一時に来室。四時少し前までラサ口語の漢語チェック。赤の チェック印をつけたところのみを質問。 >>>綴りと発音がかなり異なっているものに関しては、発音注意の マークをつけてはどうか?(>>>以下はアイディアを示す) >>>見出し語については発音、日本語から引けるようにする。その ためには高性能のマックと、ファイルメーカーPro.を用意して作業を 進める必要がある。買い物リストを今週中に作成する。 十時十五分入室。午前中から午後にかけての教授会・所員会が長引く。 ラサ口語チェックは三時から五時半までの二時間半で行う。151頁まで終了。 大川氏が十時半から五時まで仕事。jaまで見出し語マーカー付け終了。 三時から五時までの間は大川氏には下巻を担当してもらい、paの見出し語 マーカー付けを終了。 十時四十五分入室。梓沢さんと仕事の打ち合わせ。 梓沢さんに下巻の見出し語マーカー付けを依頼。校正も合わせて依頼。 火曜、木曜。九時から五時。梓沢さんのお仕事は、下巻の最初から878頁途中まで終了。 ラサ口語辞書対照チェック。167頁まで終了。 五時退室。 一時半入室。 ラサ口語辞書対照チェック。185頁まで終了。 上田博人氏『パソコンによる外国語研究への招待』に刺激を受け、 辞書の構造をまず組み立てることの重要性を改めて考える。 ルビオ・上田編『新スペイン語辞典』研究社 購入。構造的な面、 レイアウトの点で参考になる。 必読文献として Hartmann, R.R.K.(ed.) 1984 Lexicography: Principles and Practice. 木原研三・加藤知己訳『辞書学:その原理と実際』東京:三省堂. 中尾啓介. 1992. 『辞書学論考』 東京:研究社. 千葉さんに送る原稿のコピーを175頁まで作成。 北海道から帰ってきて出勤第1日目。 ほとんど何もせずに疲れきって帰宅。 一時入室。 辞書の仕事は何もできなかった。 敦煌文書関係の仕事。プログラム。今井さん、高橋さんと話をする。 月曜日に仕事開始。 敦煌文献関係の仕事、その他の業務で忙しく、辞書の仕事の進みが遅い。 日誌も御無沙汰であった。 重要なことを決定。現在編纂中の辞書は、コンパクトな口語辞書として出版するには 情報過多である。これを解決するため現在のデータを再びファイルメーカーPro.に取り込み、 ランク付けのフィールドを新規作成して、そこに A B C 等のランクを表記していく。 つまり、A ランクの「猫」は辞書に記載する情報であるが、 その下位にある「大きい猫」等は B あるいは C ランクとみなし、記載しない情報とする。 この判断は困難かもしれないが、なるべく一気にやってしまうことにする。 梓沢さんが今日から仕事をしてくれることに。主に日本語の校正をお願いしている。 8時半入室。 先週から、辞書の語彙のランク付けをおこなっている。要らない情報には DeleteのDをつけることに。「大きい」「小さい」「よい」の書き出し、 およびランク付けを行った。「買う」「売る」「作る」などはこれから。 新しいファイルメーカーPro.を購入することにした。 7月30日からインド、ケニアへ出張。それまでに仕事をハゲシクこなさなければ ならない。ランク付けの作業が進めば、相当シェイプアップできることになる。 何しろ使いやすい辞書を目指さなければ。 今日は梓沢さん、千葉さんが仕事をしてくれた。千葉さんはTibetan Folktales の6巻、7巻をパソコンに入力してくれた。今月中に6巻だけでもKWICにしてみたい。 九時半時入室。 昨日の帰りにファイルメーカーPro4を購入。マック版。 家のマックで試すが、検索時にフォントの変換がきかないことに気づく。 観念して、東洋文庫チベット研究室から出ているコンバータを用い、 チベット文字を変換し、 たいへん久しぶりに日誌を書いております... 出張から帰国してもう三週間。かなりあわただしい毎日。 校正をしてくれていた梓沢さんはチベット大学へ留学。今日手紙が届いた。元気だそうだ。 梓沢さんにかわって現在校正の仕事をどんどんやってくれているのは大川氏だ。 私の出張中に研究室に新しいマックG3が来た。非常によく仕事をしてくれている。 マックをつかっておおきなデータベースを動かしてくれているのは千葉さんである。 編纂作業はファイルメーカー Pro 4.0 で作成したデータベースをもとにおこなっている。 チベット文字のフィールドとローマ字転写のフィールドをそれぞれ別にして作成したため、 検索がかなり自由自在になった。以前チベット文字だけで検索しなければならなかった ときはかなり不自由をしたが、今やそんな話も夢のようだ。ローマ字への転写は、 東洋文庫のチベット研究室 (http://www.toyo-bunko.or.jp/Tibetan/index.html) で公開されている Tibetan Converter を使っている。 チベット語の単語は二音節からなるものが大部分であるが、二音節目に ある特定の音節をもつ単語を、ファイルメーカーProの検索・書き出し機能を 使って集めてみると、二音節目にくる音節の意味のひろがりが改めて見えてくる。 辞書の記述になるべく反映させていきたいものだ。「ある特定の音節」は現在 500音節ほど選んである。「選択的逆引き」ということになる。 他に並行しておこなっている重要な作業は、 『チベット民話集(1〜7)』(星実千代編/東洋文庫) 『チベット・ラサの年中行事』(1995年/R.D.タリン語り/星実千代・星泉共編/AA研) などの口語テキストから、現在のデータベースに入っていない単語を抜き出す という作業である。民話集に関しては1巻から5巻までAA研大型電算機のデータとして 入力済みであるので、これをもとに単語リストを作成し(リスト作成のプログラムは 「頻度」を算出するプログラムを用いる。実験はまだこれから)、 データベースとの照合をおこなう。6巻と7巻はパソコンで入力したものがあり、 これを大型電算機のデータにコンバートし、リストを作成する。 辞典編纂の主幹 星実千代氏は現在ケニアはナイロビ在住であるが、 「フルスイングで」仕事をしているとのことである。 こちらも頑張らなければ。 今週の水曜日から、大川氏に『チベット民話集』第五巻のチベット語データを 大型電算機に入力してもらうことにした。例によって高橋まり代さんに大型電算 機の操作、チベット語入力について教えていただくなど、たいへんお世話になった。 第五巻の入力が済めば、『チベット民話集』はすべて電子化されたことになる。 千葉さんは辞書のデータベースの中身をきれいにまとめてくれている。 はじめからデータベースを構築して編纂をすすめていたわけではなく、 手書きのカードから出発し、手作業で時間をかけておこなってきたため、いざ データベース化しようとなると、随所に不同、不一致の点が見られるのである。 これをきれいにまとめるためにずいぶん時間がかかっている。新しいマックは かなり仕事が速いので、たいへん助かっている。 私の仕事の進行状況はあまり芳しいとは言えない。他の仕事を並行しておこな っているため、辞典の仕事も何かしら犠牲にしてしまっている。 『年中行事』の語彙抽出は今月中に終わらせるつもりであったが、 一月、二月、十月の語彙抽出がまだ済んでいない。十月はおそらく今日で終わ らせることができると思うが、一月、二月合わせると相当な量になるので、 すべて終わるのは、来月にかかってしまうだろう。さらに注釈まで書き終えて いるのはまだ、三月、四月、五月、十一月、十二月の五ヶ月分 だけ。相当がんばらないと予定がどんどんずれ込んでいく。う〜ん、焦りますな。 辞典編纂の主幹、星実千代氏が14日、ケニアから一時帰国してきた。 さっそく仕事の仕切り直しをして、分担も決めた。これから三ヶ月の課題としては 日本語の見直し、見出し語の選定と意味の分類記述、それに伴う用例の分類、 などである。見出し語の意味の確定を行うに当たって、大部な用例集が作成された。 電話帳のように厚いので、電話帳と呼んでいる。これが計三冊ある。 電話帳との格闘の日々はすでに始まっている。単語の意味の広がり具合が やっていて実に楽しい。いい辞典にしよう。 日誌をつけないでいるうちに、仕事は進んでいる。まず、千葉さんが担当して くれている辞典のためのデータベースはかなり充実し、整備されてきた。 また、新規追加の単語もどんどん増えてきている。おそらく見出し語だけで 2万3千語ほどになるのではないか。『年中行事』からの語彙抽出は11月中に 終了し、一段落。数は相当多い。『チベット民話集』第五巻も入力終了。 ついでに、大型電算機からパソコンへ、またはその逆の文字コード変換のプログラム が完成したので、今後の入力はすべてパソコンでおこなえることになる。 大型電算機に入力されていた『民話集』第一〜三巻のデータはパソコンで扱えるように なった。第六、七巻のうち、我らが辞典に記載されていない単語総数約900語。 『年中行事』からも相当の数の単語を辞典に記載しなければならない。 とにかく、頑張ります。 |
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