『現代チベット語辞典』について

 

 星研究室では、文部省科学研究費補助金(奨励研究(A))とトヨタ財団助成金を得て、『現代チベット語辞典』の編纂を進めています。

 この辞典は、チベットの人や文化や自然に興味を持つ人が、チベット語学習のスタート時点から使えるような、新しいスタイルのチベット語辞典となる予定です。チベット語の発信、受信の両方に役立つ、機能的でコンパクトな辞書になるように工夫をこらしています。2001年の秋頃には出版する予定です。

<編纂の経緯>

 チベット語辞典の編纂は、星実千代(チベット語研究、東洋文庫研究員、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員)によって1986年に始められました。編纂開始以来、手書きのカードを使っての語彙の収集、膨大な時間を費やしてのインフォーマント調査と語釈の執筆、さらに1990年にコンピュータを導入して以降は、手書きのカードの電子化など、地道な編纂作業が10余年にわたって続けられてきました。

 1997年、大学院でチベット語の研究を続けてきた星 泉がアジア・アフリカ言語文化研究所に助手として入所し、これをきっかけに、星 泉研究室が辞典編纂の作業を引き継ぐことになりました。引き継いだ時点で、星実千代が収集した単語と用例はすべて電子化され、10万件におよぶレコードを持つ大きなデータベースとなっていました。

 1998年4月からは、文部省科学研究費補助金(奨励研究(A))が交付されることになり、辞典の完成に向けて本格的な編纂作業が始まりました。1年の間、引き継いだ辞書データの評価と整理に始まって、理想とする辞典のデザイン、内部構造の検討、そうした辞典を編纂するのにふさわしい辞典編纂用データベースの設計に至るまで、様々な作業を進めました。1999年の春には辞典編纂用の新しいデータベースがほぼ完成し、快適な環境で編纂作業を行っています。

 また、1999年11月からはトヨタ財団から研究助成を受け、「現代チベット語辞典の編纂と辞典編纂のためのデータベースの構築」という研究題目のもと、編纂作業をさらに進めています。

 2000年3月には、科研費補助金の交付期間の終了にともなって、成果報告書として『現代チベット語辞典(暫定版)』を作成しました(表紙[画像])。まだ編纂の途中での成果報告なので、出版時に近い形で出力したのは全体の10分の1程度になりました。辞典の大きさですが、この時点での計算では、出版時には見出し語総数2万語程度、A5版の大きさで1,000ページ余りの大きさの辞書になりそうです。

 
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