チベット語 Tabo 写本および Gondhla 写本の調査・研究


山口県立大学 国際文化学部
鈴木隆泰


ウィーン大学に所蔵されている,西チベット Tabo および Gondhla 将来の写本 Kanjur の調査を行った.Tabo 写本(以下,略号 A)は断片であるのに対し,Gondhla 写本(以下,略号 Go)は完全な状態で残っている.内容を分析した結果,どちらも Mahaavyutpatti に基づく改訂を受けているものと判断される.それにも関わらず,例えば
などといった,古い書法を保存している点が特徴的である.

写本の成立年代や系統についての調査はこれからの課題だが,地理的に見てA, Go ともに Stog Palace 写本(以下,略号 S)や Tokyo 写本(以下,略号 T)との親近性は予想されてよい.ただし A, Go ともに,ST などの「西の系統」ではなく,北京版などの「東の系統」と一致する読みも多く確認されるため,AGo との関係も含め,継続的な精査が必要である.


suzuki@cis.ypu.jp