ブータンの新聞 クンセル

星 泉
last updated 2002/11/18


本報告は,科学研究費補助金特定領域研究(A)(2)「古典学のための多言語文書処理システムの開発」(研究代表者:高島淳)に基づいて行ったブータンで使用されるチベット文字に関する調査報告である。

1. ゾンカ語の新聞クンセル

ブータンで発行されている唯一の新聞,クンセル紙は,毎週土曜日発行の週刊紙で,ゾンカ,英語,ネパール語の3つの言語の版がある。

       

 左から
 ・図書館の書棚に並ぶ3つの言語によるクンセル紙(国立図書館)
 ・クンセルを売る果物屋 土日に立つ市場で最新のクンセル紙が入手できる(ティンプーの野菜市場)
 ・ゾンカ版クンセル紙を読む干し魚売り(ティンプーの野菜市場)

★ホームページも開設されている
 KUENSEL ONLINE

2. 1970年代のクンセル紙

クンセルがいつから発行されていたのかについては,現在のところ筆者の手元に資料がないので不明である。国立図書館には,1973年のものから合冊にして保管されていたが,それ以前のものについては見ることができなかった。1973年の第一号を見ると,「7年目第217号」とあるので,1967年頃から発行されていたと考えられる。ティンプーで印刷していたのか,カリンポンのタルチンの新聞社に委託していたのか,現在のところ詳細については不明。

1973年,1974年については,新聞の一面のみ,デジタルカメラで撮影してきたので,以下で紹介したい。

2.1 1973年のクンセル紙

新聞の発行も7年目に入っていた。全号は揃っていない。

No. 発行年月日 一面の内容 備考
217 1973.6.10 ブータンの政治と宗教の中心であるジェ・ケンボと僧団の一行が,6月2日,プンタン(spungs thang)から,夏のため(避暑?夏安居?),タシチューゾンにお出かけになった。  
221 1973.7.8 「ティンプーの町」コロンボ計画からの援助により,ブータンのこの町は大きな発展を遂げた。  
228 1973.8.26 「コロンボ計画の長が任期満了に伴い退任」コロンボ計画により高等教育を卒業した学生たちが海外留学に派遣されている。  
229 1973.9.2 ティンプーを訪問予定のサー・パトリック氏  
230 1973.9.9 新しい外交書記官にダショー・サンギェー・ペンジョルが任命された。  
232 1973.9.23 ティンプー県のギタルコンマ(sgyid dar gong ma)の発電所が間もなく竣工 1,259キロワットの発電量 (写真はタシガンの発電所)  
233 1973.10.7 ブータンの農村 二面の記事は,「日本の政府代表からブータンに車を寄贈」という内容。トヨタのクラウンが五台,ヘジウェンス?が三台だったという。
235 1973.10.14 「ブータン第39回国会がタシチューゾンで開催」 国会が10月10日から開催され,今回は国王も出席された。  
236 1973.10.21 「ブータン国会が閉幕」
 
237 1973.10.28 「ジンミ・センゲ・ワンチュク国王は,第39回国会において,選挙を行わずに国王として決定された」 第29回国会において,国王として適任か否かに関する選挙は不必要という判断が下された。  
238 1973.11.4 「聖地ブッダガヤおよびカマカヤまで走行するバスについて」 プンツォリンとションパンカルから,グアハティにあるカマカヤのメンディル(寺院)およびビハールのブッダガヤまでの区間を走行する初めてのバスが11月26日に出発することになった。 写真は「ティンプーからプンツォリンまで走行するバスが出発の準備をしているところ」  
239 1973.11.11 「ブータン国王ジンミ・センゲ・ワンチュクの写真」  

2.2 1974年のクンセル紙

No. 発行年月日 一面の内容 備考
1-2 1974.1.6-13 ブータン国王ジンミ・センゲ・ワンチュクと随行の御一行がブータン南部を視察 今回が国王として初めての視察であった。写真は視察時のもの。  
3 1974.1.20 「ブータン国会議員団がインド旅行」 1974年1月14日にティンプーを出発し,カルカッタ,ボンベイなどを旅行。  
4 1974.1.27 「ブータンの林業発展のため,FAO(国連食糧農業機関)が援助」 FAOからブータンへの初めての援助が行われる。  
5 1974.2.3 「在ブータンインド大使のゴカレ氏が新しい職に移動」 インド大使のA.B.ゴカレ氏は1974年2月をもってブータン駐在の任期を終えた。」  
6 1974.2.10 「インド政府外務大臣がティンプー訪問」 インド政府外務大臣のサーおびサーブ・レンスィン?氏は1974年2月4日,首都ティンプーを訪問し,ブータン政府の外務大臣ダワツェリン,インド大使A.B.ゴレリ,インド政府の...  
15 1974.4.14 「ブータン通貨ニュルタムの新紙幣を製造中」 このたび,国王と国会に対し,1974年4月16日,財務担当のアシェ・ソナムチュドゥンワンチュクから,ブータンの新紙幣完成のお祝いをした。この紙幣は10ニュルタムと5ニュルタム紙幣で,....  
16 1974.4.21 1974年6月2日に即位する予定のブータン王ジンミ・センゲ・ワンチュク近影  
21 1974.5.31 6月2日に即位の式典が行われる予定のタシチューゾンの石畳および花園の写真  
23 1974.6.9 「外国の招待客が帰国」 外国の招待客は,即位の式典の後,帰国し,ティンプー市内は元通りになった。ジンミ・センゲ・ワンチュク国王の即位の祝宴は盛大に行われた。  
30/31 1974.7.28, 8.4    
33 1974.8.18 インド大使A.B.コシャラ?の写真  
34 1974.8.25 「デウェータン?の技術学校で総合的知識の学習が行われることに」1974年2月に設立された東のデウェータン?技術学校では,大学を卒業後三年間,電気機械,機械修理,等の学習を行う。   
40/41 1974.10.6,10.13 「巡礼者の一団が初めての訪問」  
50 1974.12.15 12月15日からインドおよびバングラデシュの両国を視察する予定の国王の写真  
51 1974.12.22 国王がチャンリンメータンの国立運動場で講演  

2.3 1987年のクンセル紙

No. 発行年月日 一面の内容 備考
  1987.1.10    
  1987.1.31    

2.3 1991年のクンセル紙

No. 発行年月日 一面の内容 備考
1 1991.1.5    
4 1991.2.2    



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