S村 就業状態

職業では、個人が複数の職業に従事している例も存在する。農業との兼業の例は多く、また勤めに出ている人が、その世帯が経営している店の店番をすることもあることなどはその別の例である。そのような場合には、従事している仕事の中で一番収入が多いと思われるものを主職業とした。

「就業状態」の表の数字は、その主職業の、15才以上男子についての個人単位の集計である。

S村の「就業状態」を1970年から1996年までの調査4時点で見ると、どの時点でも、土木関係、商売、勤めを主職業とする者の比率が(15才以上)男子人口の半数前後を占めることが分かる。その3種類の職業の間の比率は、1984年に土木関係が増え商売が減り、また勤めの比率が漸増しているという動きを経て、96年にはほぼ拮抗する状態が現れている。農業以外の職業の動きで目立つのは、「その他」の職業の84年96年の増加である。これは表で見るように、84年については運転手・車掌・助手などの交通関係従事者および織物従事者の増加による。また、96年には交通関係従事者がさらに増加している。84年は村域内に大きな工場が進出し始めた年であり、その前後から土地の買収が進み、土地を売り車を買って自ら運転手として働いたり、あるいは車の持ち主に雇われて交通関係の仕事をしたりする人々の数がこの頃から急増し始める。

なお、「就業状態」自体からは少しずれるが、学生の増加も顕著である。とくに1996年の「在学」の比率はそれ以前の年と較べて際だって高く、その年に至るまでに、15才以上の年齢層(男子)で学生が激増していることが分かる。

さらに、農業を主職業としている人口の減少も顕著である。1984年には、その率は、15才以上男子のほぼ4分の1に下がり、それ以降も徐々に減少し、1996年には5分の1となっている。

 

1970

1978

1984

1996

土木関係

24.5%

22.0%

26.3%

16.7%

商売

17.2%

18.2%

10.9%

15.6%

勤め

12.4%

10.6%

17.1%

16.1%

その他

2.2%

6.0%

11.6%

18.6%

農業

43.6%

33.7%

23.8%

16.7%

在学

6.8%

6.5%

14.5%

無職

2.7%

3.8%

1.4%

 

次のページへ ..>>