以下に示すグラフおよび表は、Ｓ村の土地保有状況を、保有面積別の世帯数の比率で表したものである。４調査時点間での変化の主な特徴を指摘すれば以下のようである。なお保有面積単位は「ロパニ」（約0.05ha）で、約20ロパニが１haとなる。

• 図・表で明らかなようにどの調査時点でも20ロパニ（１ha）以上の世帯の比率が大変に低いことが分かる。20ロパニ以上の世帯の比率は年を経るに従って急速に減少しており1996年では全村で２世帯（0.6%）に過ぎない状態になっている。
• 土地を持たない世帯の比率は1984年まではそれほど変わっておらず、15~6％前後で推移しているが、1996年には81世帯（23.5％）となっており、近年における土地離れの傾向が著しい。
• 土地は保有しているものの5ロパニ以下にとどまる世帯の比率は1970年には1/3弱であったが、1978年、84年には約40％で、1996年には半数近くにのぼっている。
• 10ロパニ以下の土地保有世帯の比率を見ると、1970年には約60％であったものが1996年には70％に達しており、土地保有０の世帯と併せれば93.5％の世帯が土地保有10ロパニ以下ということになる。
• このようにＳ村の土地保有は1970年代からすでに零細で、年を経るに従ってその度合いは高まっているが、後にも見るように、この変化は農業以外の職業の増加と関わっている。すなわちこの変化は農業以外の職業専業の世帯や兼業世帯の増加と並行した変化であり、必ずしもＳ村の貧困化を示しているものではない。