怒りのアラビック
世界思想社刊「イスラームを学ぶ人のために」の242ページに以下のような記述があります。
「北西セム語に属するアラビア語は、・・・」
ばか言っちゃいけない。アラビア語は南セム語に属します。
さらに、次のような記述が続きます。
「アラビア文字は南セム系のナバタイ文字から派生したもので、シリア文字が源流である。」
おいおい。大修館書店の「講座 言語」の第5巻「世界の文字」の28ページの表3によれば、
確かにアラビア文字はナバタイ文字から派生しているけれど、ナバタイ文字はアラム文字から来たもの。
そのアラム文字から、シリア文字やナバタイ文字が出てきたのであり、
シリア文字は、ウイグル文字、それから蒙古文字という流れの上流にあるのです。
では、そのアラム文字とは何かというと、「世界の文字」139ページに次のように説明されています:
「アラム文字というとき、さしあたり、古代オリエントの時代のアラム語、
あるいは遅くとも地域差がまだ著しくないころまでのアラム語を記録した文字と理解したい」
このアラム語というのは、あのイエズス=キリストもお話になられた由緒正しきお言葉。
ヘブライ語とともに西セム語(あるいは北西セム語)に属します。
「そう考えると、アラビア語は言語的には北系で、文字的には南系であるといえる。」
もうおわかりですね。そう、この著者は右も左もわからず、
北と南を取り違えているのです。気をつけましょう。
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