讀下:8-2159a+8-0740a=8-2159b+8-0740b

文書構造

讀み下し文

文書本體

書出

【某年某月某日朔某日、洞】庭守の禮、縣嗇夫に謂う。

本文

状況説明

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用件

見禾稼[i]【……】を上せ。【……監(?)[ii]】府令せらく、縣上せ、と。十二月朔日に會せよ。

附記

疑うらくは、縣【……】上【……。】[iii]

郵を以て行り[iv]、留むることなかれ。各々一書[v]

書止

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附記

處理記錄

したり。

送達記錄

【(某月)某日、水】下九、郵人の慶、以て來る(しゃく)(ひら)く。

[i] 禾稼、初出。

見禾稼、見は、現有の意(簡8-0517+8-0619注?參照)、見禾稼は、現有の穀物。

[ii] 「上見禾稼」の主語が受信者の縣嗇夫なのに對し、「令縣上」の主語は受信者でも發信者でもあり得ないので、「令」は第三者の命令と推定される。日頃地方行政に關與し、且つ郡に對して命令を發する權限を有する機關は、簡8-1032や8-1644等に見える「監府」を置いてほかなかろう。

[iii] 報告期限の「十二月朔日」からも明らかなように、本文書が指示する現有穀物に關する報告は、年度單位の會計報告である上計とは次元を異にする。目的は臨時監査であろうが、「疑」字以下の一文には、「監府」が臨時監査を指示した原因が記されていたと考えられる。

[iv] 以郵行、初出。

[v] 各一書、見禾稼を報告する際、郡太守府と監府とに各々文書一通を上呈するようにという指示。本文書が監府の指示を受けて郡から縣に送られたが、縣の返信は、郡と監府に送付されることとなる。縣が監府と直接的な交涉を持つことは、『爲獄等狀』にも

013    五月甲辰,州陵守綰、丞越、史獲論令癸、瑣等各贖黥。癸、行戍衡山郡各三歲,以當灋(法);先備

014    贖。不論沛等。監御史康劾以爲:不當,錢不處,當更論。更論及論失者言夬(決)。

五月甲辰、州陵守綰・丞越・史獲、論じて癸、瑣等に令して各々黥を贖わしむ。癸・行、衡山郡に戍すること各々三歲、以て法に當(あ)つ。(瑣等)先に備(つぶさ)に贖えたり。沛等を論ぜず。監御史康、劾して以爲(おも)えらく、「(論)不當にして、錢、處せざれば、まさに更(あらた)めて論ずべし。更めて論じ及び失せる者を論じたらば、決を言え」。

と見えており、そこでは、本文書と逆の方向で、監御史の康が直接に劾を縣に下して獄のやり直しを命じている。

なお、簡J1⑫1784と8-0159には、「縣一書」と「道一書」が見えており、下達方法の指示として、縣ごとに一書と經路ごとに一書という意味を表すと考えられるが、下達方法がこの二種に分かれることからも、「各一書」が一般的な下達方法ではなく、本文書の特殊狀況に對應した上申方法を指すことが裏付けられる。