文書構造 |
讀み下し文 |
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添付書類(戶數) |
二十八年、百九十一戶を見す[i]。 二十九年、百六十六戶を見す。 三十年、百五十五戶を見す。 三十一年、百五十九戶を見す。 |
三十二年、百六十一戶を見す。 三十三年、百六十三戶を見す。 {筆跡の異同は判然とせず。} |
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文書本體 |
書出① |
三十四年(213)八月癸巳朔癸卯(11)、戶曹令史の |
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用件① |
二十八年(219)より以て三十三年(214)に盡くる見戶數を牘背に疏書し、 |
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書出② |
獄に移す。 |
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用件② |
具に集めて上すこと、 |
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書止 |
請史書[ⅱ]が如くせよ。 |
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附記 |
集配記録 |
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作成記録 |
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[i] 見、修飾語としては、「見錢」や「見戶」のように現有の意(簡8-0517+8-0619注?參照)、本簡の「見」はその動詞的用法。字義は、「現れる」というよりも、「みる・みえる」という「見」字に近いように思われる。或いは直接に「二十八年、百九十一戶を見る」等と讀むべきかもしれない。
[ⅱ] 請史書、請史は、史に請うという文字通り、「史」に代表される下級役人に対して行われる請願、請史書はそれを書き留めた文書、つまり請願書と推定される。懸泉置漢簡(Ⅱ90DXT0115③:20)には、
というように、成功という名の女子が、夫の誼が巻き込まれたトラブルについて、自言の形式で史に対して請願を行う姿が見える。本簡では、戶曹が秦始皇二十八年から三十三までの戶数を獄に報告し、獄に対してさらに関連資料の集成と上級への報告を求めており、それが何らかの請願に基づくと考えられるが、詳細は不明。