讀下:8-1719+8-2003

文書構造

讀み下し文

添付書類

【某牒書】

文書本體

書出

【某年】□月□□朔□□、啓陵鄕の(しょく)【敢えて之れを言う。】

本文

状況説明

【……】
【……】徒隸を□緩し、宜しく給して□【……】と爲すべき所有るに【……】□□□徒隸の從人を徙し及び勮事を守する【者……】之れを次して尺六寸の牒[i]を以て第して上せ。

用件

●今
【……を】牒【書(?)して上す。……。】

書止

【敢えて之れを言う。】

附記

集配記録

(某月)某日某時、某人以て來る。/某(ひら)/(ひら)く。

作成記録

【某手す。】

[i] 牒、簡札の意。簡牘史料では、簡牘の意味若しくは簡牘の数詞として用いられる用例のほか、一枚の簡牘に纏められた記録・文字資料を指す場合もある。『説文解字』片部には、

牒,札也。
牒は、札なり。

という。『秦律十八種』には、

091    毒言              爰書:某里公士甲等廿(二十)人詣里人士五(伍)丙,皆告曰:丙有寧毒言,甲等難飲食焉,來告之。卽疏書甲等名
092    事關諜(牒)北(背)。
毒言          爰書。某里公士の甲等二十人、里人の士伍の丙を詣して、皆な告げて曰わく、丙、寧毒言有り、甲等(これと)飲食し難ければ、來りて之れを告ぐ、と。卽ち甲等が名・事・關を牒が背に疏書す。

と、簡札の背面を「牒の背」と称する。数詞の用例は、

168    (前略)今獄史觸、彭沮、衷得微難獄,磔辠(罪)
169    一人。爲奏十六牒,上。(後略)
今、獄史の觸・彭沮・衷、微難獄、磔罪一人を得たり。奏十六牒を爲りて、上す。

と、『為獄等状』や

068    八年四月甲辰朔乙巳,南郡守強敢言之:上奏七牒,謁以聞。種縣論。敢言之。
八年四月甲辰朔乙巳、南郡守の強、敢えて之れを言う。奏七牒を上し、以て聞えしめんことを謁う。種は縣論ず。敢えて之れを言う。

と、『奏讞書』等に確認される。居延漢簡には、

建平三年閏月辛亥朔丙 寅,祿福倉丞敞移肩水金關:居延塢長王戎
所乘用馬各如牒。書到,出如 律令。                            15.18,A32
建平三年閏月辛亥朔丙寅、祿福倉丞の敞、肩水金關に移す。居延塢長の王戎の乘る所の用馬は各々牒が如し。書到らば、出だすこと律令が如くせよ。

と、通関時の乗用の馬を記した「牒」という添付資料への参照指示が見られる。『奏讞書』簡076と078の「繫牒」(簡8-0144+8-0136注?参照)、簡177の「上功牒」および里耶秦簡8-0804の「解牒」もそれぞれ「繫」(身柄拘束)・「上功」(人事評価記録)・「解」(弁明)に関する記録を指すが、数詞としては「章」が文章の纏まりを数えるのに対し「牒」が簡牘の枚数を表すことから、「繫牒」等の記録が一枚の簡牘に記されていたと考えられる。

牒書、牒もて書く、つまり、牒を使って報告などを作成する意。『漢書』薛宣傳には、

宣察湛有改節敬宣之效,乃手自牒書,條其姦臧。
宣、湛の節を改めて宣を敬うの效有るを察し、乃ち手ずから自ら牒書し、其の姦臧を條(なら)ぶ。

というのに対し、顏師古は

牒書謂書於簡牒也。
牒書は、簡牒に書くを謂う也。

と注釈する。『秦律十八種』には、

035    稻後禾孰(熟),計稻後年。已獲上數,別粲、穤(糯)秙(𪏻)稻。別粲、糯(糯)之襄(釀),歲異積之,勿增積,以給客,到十月牒書數,
036    上内【史】。 倉
稻、禾より後れて熟せば、稻を後年に計えよ。已に獲たらば、數を上せ。粲と糯𪏻の稻を別て。粲と糯の釀を別て。歲ごとに之れを異にして積み、增して積むことなかれ。以て客に給せば、十月に到りて數を牒書し、内史に上(のぼ)せ。   倉

という。