讀下:8-1695

文書構造

讀み下し文

文書本體

書出

【某年某月某日朔某日、某職某人、敢えて之れを言う。】

本文

状況説明

【……□】子[i]、論奏[ii]を守府に上すも、卻(しりぞ)けて[iii]曰わく

【……。】

用件

【……】

【……。】

書止

【敢えて之れを言う。】

附記

集配記録

【……。】

作成記録

【某手す。】

 

[i] 子は、論奏を太守府に上呈した干支の一部と推測される。

[ii] 論奏、論は、罪の評定(簡8-1516注?參照)、奏は、進言することから轉じて、進言に際して上級機關に上呈される文字資料(簡8-1617+8-0869注?參照)、論奏は、罪の評定を内容とする進言の文字資料。全く同じ用例は見受けられないが、論に關わる「奏」は、次のように8-1617+8-0869に見える。

爲奏,傅所以論之律令[ii],言。(後略)

【……】奏を爲し、以て之れを論ずる所の律令を傅(つ)けて、言え。

また、8-1060+8-1405と8-0433には、劾を内容とする奏という意味の「劾奏」が見える。

なお、一説によれば、「奏」は、「泰」の誤りではないかとも推測される。遷陵縣の上行文書の中で、書類の提出先として「泰(太)守府」が擧げられる用例は、

上葆繕牛車薄(簿),恆會四月朔日泰(太)守府。

と、8-0062から、「上論」という表現は、

卒人上論。

卒人、論を上す(べし)。

というように、8-0293+8-0061+8-2012から檢出される。一方、「泰守府」もしくは「太守府」ではなく、「守府」に上す事例は、8-0664+8-2167+8-1053や8-1258にも見える。

[iii] 卻、上級機関による文書の却下(解題参照)、ここでは、「曰」字を伴うことから、却下を受けた下級機関の文書における引用と推測される。