今、一邑二里見(いま)す。大夫は七戶、大夫が寡は二戶、大夫が子は三戶、不更は五戶、【不更が[i]】寡四戶、上造は十二戶、公士は二戶、從は二十六戶[ii]。
[i] 他に簪褭の戸が見えないため、取り敢えず「不更」の二文字を補ったが、転入などによって、簪褭の戸や簪褭寡の戸が出現する可能性も完全に排除できない。また、考釈による本簡の遙綴にも必ずしも必然性が感じられない。遙綴が成立しないとすれば「寡」の上に、「簪褭」と「不更」のほかにさらに「大夫」などの可能性も考えられる。
[ii] 嶽麓秦簡(肆)簡152には「從戸」なる語が見られ、本簡にいう「從」と同じ可能性が高い。(石原遼平「秦漢時代の「徭」」66頁は「從戸」について、第一級の公士の下に記されていることから、「公士より低い身分の者」とした上、「詳しいことはわからないが、無爵者あるいは從人の戸を指したと思われる」という)