讀下:8-1073a=b

文書構造

讀み下し文

文書本體

書出

【某年某月某日朔某日、某職某人、敢えて之れを言う。】

本文

状況説明

廷、恆署[i]の書[ii]を下して曰わく

事【……】參せず【……。】

用件

【……】

【……。】

書止

【敢えて之れを言う。】

附記

集配記録

(某月)某日某時某人來る。半(ひら)/發(ひら)

作成記録

謝手す。

[i] 恆署、典籍には未見、或いは恆常的往来業務を担う部署の汎称。按ずるに、郵便伝達記録には、「恆署書若干封」という表現が「獄東曹書若干封と並んで出現することから、文書を作成する部署を指して用いられることが判る。また、郡発信の下達文書には、文書の開封者指定の下に、少し空白を空けて別筆と思われる筆跡で「恆署」と注記されることがあり、個別の担当部署を指す固有名詞を汎称に置き換えた表現と理解される。個別の担当部署を指す固有名詞を汎称に置き換えた表現と理解される「恆」は、常訓の「つね」に從って、恆常的・定期的という意味に解されるが、その意味に解しうる熟語には「恆程」などがあり、部署名についても同様に理解できる。

[ii] 恆署書、文書の種類名称、特定の部署間を往来する文書を指すと推測される。按ずるに、嶽麓秦簡「秦律令(貳)」108簡には「恆署書皆以郵行」とあり、送達が「以郵行」の方式に限定される文書の種類であることがわかる。次に、「恆署書若干封」という表現が「獄東曹書若干封」と並んで出現することから、恆署が文書を作成する部署を指して用いられることが判る。また、簡8-0159や簡9-0713のように、「以道次傳」と「以郵行」という形で伝達方法が二重の制限を受けている郡発信の下達文書には、文書の開封者指定の下に、少し空白を空けて別筆と思われる筆跡で「恆署」と注記されることがあり、道次を以て郵制を通じて伝達される文書がその道次において決まった部署によって取り扱われ、そうした特定の部署を往来する文書が恆署書と称せられると推測される。