文書構造 |
讀み下し文 |
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文書本體 |
書出 |
二十六年(221)十二月癸丑朔辛巳(29)、尉守の蜀、敢えて之れを言う。 |
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本文 |
状況説明 |
太守、令して曰わく、 |
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秦人□□□侯中、秦吏自ら捕取す。歲ごとに物數を上し、九月望[i]に太守府に會せよ[ii]。有る毋きも亦た言え[iii]。 |
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用件 |
之れを問うに、 |
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尉には、令に當たる[iv]者なし。 |
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書止 |
敢えて之れを言う。 |
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附記 |
集配記録 |
辛巳、走[v]の利、以て來る。/□半(ひら)く。 |
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作成記録 |
憙手す[vi]。 |
[i] 望、月相の名、満月、ひいては満月を迎える日、即ち陰暦の毎月の十五日。二十六年(221)十二月癸丑朔辛巳(29)の視点から見た「九月望」とは、二十五年(222)九月十五日を指す。
[ii] 會、集まる意。公文書では期日(「會日」)を表す際に多く用いられる。『禮記』月令には、
是月也,申嚴號令,命百官,貴賤無不務内,以會天地之藏,無有宣出。
是の月や、號令を申嚴し、百官に命じ、貴賤とも内に務めざる無く、天地藏を會むるを以て、宣出する有る無し。
といい、鄭玄注には、
會,猶聚。
會、猶の聚むるがごとし。
という。『漢書』伍被傳に、
益發甲卒,急其會日。
甲卒を益發し、其の會日を急がしむ。
というのに対し、顏師古は
促其期日。
其の期日を促す。
と注釈する。
[iii] 有る毋きも亦た言え、該當がない場合にも報告せよという指示。
[iv] 當、初出(該当する。訳注稿xlsx8-0751+0702と8-0154を参照)
[v]走の注は語釈(身分呼称)に移す。
[vi] 手、「某手」の形で使用し、その文書の作成者・取り扱い擔當者を示す。簡8-0755+0756+0757+
0758+0759と8-1511では、洞庭太守が以前遷陵県から送られてきた文書の件を取り上げるにあたり、その手者を指摘している。