文書構造 |
讀み下し文 |
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文書本體 |
書出 |
三十五年(212)二月庚申朔戊寅(19)、倉守の擇、敢えて之れを言う。 |
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本文 |
状況説明 |
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用件 |
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附記 |
遷陵は、田(官)能(よ)く自食す。 未だ關に入らず、縣鄕、當(まさ)に成齍すべくんば、律令を以て成齍せよ。 來たらば傳を覆(しら)べよ[vii]。 |
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書止 |
敢えて之れを言う。 |
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附記 |
集配記録 |
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作成記録 |
擇手。 |
[i] 辟書、初出。(なお、「辟」については、簡8-0657注?を参照)
[ii] 食、初出。(ここの「食」は、月食か。月食と俸禄の関係は如何。注の前半はこうした字義の問題を説明し、後半は「食盡某月」の文意、つまり「食糧(?)の保障期間の終了と続食への移行を説明する。」
[iii] 以次、次は順序の意(簡8-1518+8-1490注?を參照)、「次を以て」とは、所定の順序に從うことをいう。『史記』刺客列傳には
諸樊弟三人:次曰餘祭,次曰夷眛,次曰季子札。諸樊知季子札賢而不立太子,以次傳三弟,欲卒致國于季子札。
諸樊が弟は三人。次ぎは餘祭と曰い、次ぎは夷眛と曰い、次ぎは季子札と曰う。諸樊、季子札の賢なるを知りて太子を立てず、次を以て三弟に傳え、卒(つい)に國を季子札に致さんと欲す。
という。
文脈によって次の指す順序は異なる。本簡では、公的出張者が立ち寄る縣と鄕の順序、簡8-0657では、簡8-0159に見られる「道次」と同樣に、所定の遞送順序を「次」は表す。『二年律令』には、
271 □□□不以次,罰金各四两。更以次行之。
□□□、次を以てせざるは、罰金各四两。更めて次を以て之れを行(や)る。
と、恐らく文書遞送について、所定の順序に從わなかった場合に關する罰則規定が見える。また
387 毋(無)子其夫而代爲戶,夫同產及子有與同居數者,令毋貿賣田宅及入贅。其出爲人妻若死,令以次代戶。
(寡、)其の夫に子無く、代りて戶と爲り、夫が同產及び子に、與(とも)に居數を同じくする有る者は、令して田宅を貿賣し及び贅を入るるなからしめよ。其れ出でて人妻と爲り若しくは死せば、(夫が同產及び子の與(とも)に居數を同じくするものに)令して次を以て戶に代わらしめよ。
というように、田宅を受け繼いだ寡婦が再婚・死亡した場合についてさらに所定の順序で夫の同產等に繼承させる定めも殘されている。繼承に關する所定の順序とは、同簡378及び簡379の規定を指すと考えられる。
[iv] 續食、初出。(続食は確かに「旅行者の通行する機關がリ┘ー形式で食料支給を擔う(行う?)行爲」だが、「続」字の正確な字義も説明すべし。また、王锦城の説は意味がなさそう。鄔文玲の説については、「投宿」が「提供住宿」という意味を表現できるかどうかが成否の鍵ではないか。一考に値するなら、研究会で提示して議論すべし)
[v] 投宿、初出。(「宿所 に到着すること、いわばチェックイン」という語釈が正しいかどうかは、「投」の字義に掛かる。「(某処に)身を寄せて泊まる」という語釈もあり得るので、訓詁的根拠を挙げて検討を加えるべし。)
[vi] 齎、初出。(「解釈の分かれる語」というが、「旅行の衣食を携させる」以外の字釈もしくは語釈は何か?これも必要なら研究会で提示して議論すべし)
[vii] 覆傳、覆はつぶさにしらべること(簡8-0144+8-0136注?參照)、・・・・・・、初出。(「續食文書が屆いた後に出張者がやってきたら傳と照合するよう申し述べた言」は文意としては間違いないが、「來復(覆)傳」は続食文書に限って用いられる表現ではないので、やはり「覆」の字義から丁寧に説明すべし。)