嗛[i]を詰訊するに、寄、戍卒なるに、去りし。去りたるに、徒らに食し與に其の事に從給せざること一日なり。嗛は(寄を)取りて庸と爲し、□
[i] 嗛字の字音は、『廣韻』忝韻では
苦簟切。
苦簟の切。(ケン)
となっているが、訓詁は
猿藏食處。
猿の食を藏むる處。
となっており、『説文解字』口部の
口有所銜也。
口の銜うる所有るなり。
に對應する字音はむしろ『集韻』銜韻の
乎監切。
乎監の切。(カン)
と思われる。『史記』外戚世家には
景帝恚,心嗛之,而未發也。
景帝恚り、心に之を嗛むも、而れども未だ發せざるなり。
というのに對し、『索隱』は
嗛音銜。銜謂恨也。
嗛の音は銜、銜の謂いは恨なり。
と注釋する。