文書構造 |
讀み下し文 |
|||
添付書類②(臨沮尉上行文書) |
文書本體 |
書出 |
【三十一年(前216)六月壬午】朔甲午(13日)、尉守の傰、敢えて之れを言う。 |
|
本文 |
状況説明 |
遷陵丞の昌(しょう)、曰わく、 |
||
屯戍の士伍、桑唐の趙、歸り[i]、【……臨(りん)】沮(しょ)(?)、已に迺(さる)十一月戊寅(24日)[ii]を以て遣わして署[iii]に之(ゆ)かしめたりと曰うも、遷陵、趙到らずと曰う。具に報を爲せ。 |
||||
用件 |
●問うに、 |
|||
審(まこと)に三十【一】年十一月戊寅(24日)を以て遣わして署に之かしめたり。趙到らざるの故を知らず。 |
||||
謁うらくは、遷陵に告げて、以て從事せしめよ。 |
||||
書止 |
敢えて之れを言う。 |
|||
附記 |
送達記錄 |
- |
||
作成記錄 |
俉手す。 |
|||
添付書類① (臨沮縣平行文書) |
文書本體 |
書出 |
/六月甲午(13)、臨沮丞の秃(とく)、敢えて遷陵丞主に告ぐ。 |
|
用件 |
令史、律令を以て從事すべし。 |
|||
書止 |
敢えて主に告ぐ。 |
|||
附記 |
送達記錄 |
-[iv] |
||
作成記錄 |
/胥手す。 |
|||
遷陵縣下行文書 |
書出 |
九月庚戌朔丁卯(18日)、遷陵丞の昌(しょう)、尉主に告ぐ。 |
||
用件/書止 |
律令を以て從事せよ。 |
|||
附記 |
送達記錄 |
/九月戊辰(19日)、旦、守府の快、行る。 |
||
作成記錄 |
/氣手す。 |
[i] 歸、かえる・帰還(簡8-0547+8-1068注?参照)、ここは、農作業・休暇等のための一時帰還を指すと考えられる。
『秦律十八種』
144 居貲贖責者歸田農,種時、治苗時各二旬。 司空
嶽麓秦簡『三十四年質日』
02/0595 己亥 戊戌騰歸休
嶽麓秦簡(四)律令簡牘
111/1284 ●田律曰:吏歸休,有縣官吏乘乘馬及縣官乘馬過縣,欲貣芻稾、禾、粟、米及買菽者,縣以朔日
112/1285 平賈(價)受錢L,先爲錢及券,缿以令、丞印封,令、令史、賦主各挾一辨,月盡發缿令、丞前,以中辨券案
113/1281 雔(讎)錢,錢輒輸少内皆相與靡(磨)除封印,中辨臧(藏)縣廷。
184/1299 ●戍律曰:戍者月更。君子守官四旬以上爲除戍一更L。遣戍,同居毋並行。不從律,貲二甲。戍在署,父母、妻死,
185/1238 遺歸葬。告縣,縣令拾日L。䌛(徭)發,親父母、泰父母、妻、子死,遣歸葬。已葬,輒聶(攝)以平其䌛(徭)
278/0914 ●□律曰:宂募羣戍卒及居貲贖責戍者及宂佐史、均人史,皆二歲壹歸,取衣用,居家卅日,其□□□
279/0349 以歸寧,居室卅日外往來,初行,日八十里,之署,日行七十里。當歸取衣用,貧,毋(無)以歸者,貸日,令庸以逋。
[ii] 三十一年(前216)六月壬午朔甲午(13日)の時点から見た「迺十一月戊寅」とは、同年十一月戊寅、つまり約七か月前の時点を指す。
[iii] 署、配置・配属する意(簡8-1459+8-1293+8-1466注?参照)から転じて、配属先・持ち場。『封診式』には、
055 賊死 爰書:某亭求盜甲告曰:「署中某所有賊死,結髮,不智(知)可(何)男子一人,來告。」(後略)
賊死 爰書。某亭求盜の甲、告げて曰わく、「署中の某所に賊の死して、結髮、何の男子たるやを知らざる一人有り、來りて告ぐ」、と。
と、『二年律令』には、
398 當戍,已受令而逋不行盈七日,若戍盜去署及亡過一日到七日,贖耐,過七日,耐爲隸臣,過三月,完爲城旦。
まさに戍すべきに、すでに命令を受けて逋(のが)れて行かざること七日に盈(み)つ(もの)、若しくは戍するに盜(ひそ)かに署を去ること及び亡(に)ぐること一日を過ぐるより七日に到るは、耐を贖う。七日を過ぐるは、耐して隸臣と爲し、三月を過ぐるは、完(まっと)うして城旦と爲す。
といった類例が見られる。
[iv] 送達記錄は通常背面の左上に記される。本簡は左上が缺けているが、殘缺が小さく、送達記錄を收めるスペースがない。