讀下:8-0077a+8-0108+8-0002=8-0077b

文書構造

讀み下し文

文書本體

書出

【某年某月某】辰朔戊辰、遷陵將計假丞[i]【の某、敢えて之れを言う。】

本文

状況説明

【……】□數、計と與(とも)に偕(とも)にせよ[ii]

用件

●之れを問うに、

□【……。】

書止

【敢えて之れを言う。】

附記

集配記録

【(某月)】□,史の□【 某處に行(や)る。】

作成記録

【某手す。】

[i] 將、ひきいる。『秦律十八種』簡116-117

116     興徒以爲邑中之紅(功)者,令𥿍(嫴)堵卒歲。未卒堵壞,司空將紅(功)及君子主堵者有罪,令其徒復垣之,
117     勿計爲䌛(徭)。(後略)
徒を興こして以て邑中の功を爲す者は、令して堵(かき)を嫴(うけあ)うて歲を卒(お)えしむ。(歲を)未だ卒えずして堵壞れば、司空の功を將(ひき)いる(もの)及び君子の堵を主(つかさど)る者、罪有り、その徒に令して復たこれを垣(きず)かしむ。計して徭と爲すなかれ。

計、上計の吏。『史記』儒林列傳には

郡國縣道邑有好文學、敬長上、肅政敎、順鄕里、出入不悖所聞者,令相長丞上屬所二千石,二千石謹察可者,當與計偕,詣太常,得受業如弟子。
郡國の縣・道・邑に、文學を好み、長上を敬い、政敎を肅(つつし)み、鄕里に順(したが)い、出入所聞に悖(もと)らざる者有らば、相・長・丞に令して屬所の二千石に上させ、二千石謹みて可なる者を察し、當(まさ)に計と與(とも)に偕(とも)にし、太常に詣り、業を受くること弟子の如くするを得べし。

というのに對し、『索隱』は、

計,計吏也。偕,俱也。謂令與計吏俱詣太常也。
計は、計吏なり。偕は、倶(とも)にする也。謂うこころは、令して計吏と與(とも)に倶(とも)に太常に詣る也。

と注釋する。

なお、『索隱』が「計」字を「計吏」と注釋する「與計偕」という表現は、『秦律十八種』簡037と092にも見えており、整理小組が「計」を、

卽與地方每年上呈計簿同時上報。
卽ち、地方の每年計簿を上呈するのと同時に上報するなり。

というように、「計簿」と解釋する。目下「計吏」と斷定できるのは、むしろ本簡の「將計」の「計」のみである。

假,代行。『史記』項羽本紀には、

乃相與共立羽爲假上將軍。
乃ち相與に共に羽を立てて假上將軍と爲す。

というのに對し、張守節『史記正義』は

未得懷王命也,假,攝也。
未だ懷王が命を得ざれば也。假は攝(か)ぬる也。

と注釋する。

將計假丞、上計の吏を團長として引率するという業務を擔當する副長官の代行。遷陵縣では、諸種の業務のために臨時に代行を任命していたようであり、「將計假丞」のほかに、「將捕爰叚(假)倉」(8-1559)・「求菌叚(假)倉」(8-0459・8-2371)・「市工用叚(假)少内」(8-2202+0888+0936)・「市叚少內」(8-1771)がある。なお、「將捕爰」は「將徒捕爰(徒を將(ひき)いて爰を捕(とら)う」(8-0207)の略と推定される。

[ii] 偕、ともにすること。通常は、前注『史記索隱』が説くように、人を伴う、人が連れ立つことをいうが、ここでは、「數」が先行文の目的語となっているという文脈から、事を竝べて行うことを指す可能性がある。つまり、本簡で遷陵將計假丞が引用している上級機關の指示は、(通常上計に含まれない)數字を、上計と共に報告するように、という内容となっていたと考えられる。