文書構造 |
讀み下し文 |
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文書本體 |
書出 |
【……。】 |
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本文 |
状況説明 |
【……】菽荅が葉に【……】有り/有らば【……】實、焦乾[i]し、將(まさ)に【……】する所を害することを畏る。 |
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用件 |
今【謁うらくは(?)……】男女小大【無く……】せしめよ。【……】[ii] |
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書止 |
【……。】 |
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附記 |
送達記錄 |
【……。】 |
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作成記錄 |
【某手す。】 |
[i] 焦乾、極端に乾燥して植物が枯れる意か。前漢の焦贛の著作とも後漢以降の作ともされる『易林』泰之困には、
振急絕理,常陽不雨。物病焦乾,華實無有。
という用例が見える。
時代は大幅に下り、作物も異なるが、『朱子語類』には芋に関する俗説が紹介されている。本簡の内容はこれと用いられる語がよく似ている。
或云: 「嘗見野老說,芋葉尾每早亦含水珠,須日出照乾則無害。若太陽未照,為物所挨落,則芋實焦枯無味,或生蟲。此亦菖蒲潮水之類爾。」(『朱子語類』易、井に引く李道伝集成本)
これによれば芋の葉についた水滴が太陽光で乾けば無害だが、太陽が出る前に水滴が落とされると芋の実が枯れるか味が無くなるか、あるいは虫が発生する。サトイモはロータス効果で水滴が溜まりやすいが、豆はそうでもないので、本簡は豆の葉に関する別の問題だと思われるが、葉の問題が実に影響するという知見という点では共通する部分がある。
[ii] 本簡は残欠が多く、内容は必ずしも正確に読み取れないが、農業技術と関連するように思われる。推測で補えば、豆の葉に何らかの問題があることが原因で(一行目)、豆の実が枯れてしまう(二行目)という情報があり、被害が出るのを恐れて(三行目)、性別年齢を問わず何らかの作業を黔首にさせる(四行目)といった内容ではないかと考えられる。