基礎形態:……
加工形態:・釋文にあげた以外にも文字のような墨痕が見え、もとの文面を削り取って再使用したものであろう。 ……
特記事項:・文面は完結しているものの正式な文書の書式をとっておらず、簿籍でもない。辨・平への具體的な對應を指示した遷陵縣廷内部のメモ書きであろう。
正面第一行
辨、原釈文は「辟」に作る。校釈に従って改釈した。校釈の指摘する通り、辨と平による具獄は簡5-01等に見える。
□、原釈文は「限」、校釈は「幾」に作る。図版から見る限りどちらも疑問なしとしないが、残されている墨蹟には顕著な濃淡が確認され、比較的濃い墨蹟のみに着目すると、字形は「限」に近く、濃淡を問わず全ての残画を繋げてみた場合、輪郭は「幾」に近い印象を受ける。なお、後者の場合にも、「𢆶」に当たるところは、左右対称的な構成を取りつつ、𢆶形は確認できず、むしろ𨸏(阝)と目に近い書き方となっている。一方、文意と表現からすれば、先行する「有期」の「期」はすでに「期限」の意味を表わしており、「期有り、期限尽きる」という表現が甚だ不自然な印象を受ける。なお、「期限」なる語は『漢語大詞典』によれば、すでに『隸釋』漢郎中鄭固碑に「不満期限」という形で確認できる。