釈読問題9-0482a=9-0482b

基礎形態:……

加工形態:……

特記事項:

正面に遷陵縣廷から縣外への發信記録(「行旁」とあることによる)および県外からの受信記録があることから、本來の正・背は逆であると考えられる。すなわち、官もしくは鄕から報告ないし要請があり、それを遷陵縣廷が取り次いだものであろう。「敢告 」の釈読が正しいとすれば、縣外機關への取次となる。

  

正面第一行

□□□:校釋は前の2字を「敢告」に疑う。《里耶秦簡(貳)》校讀(二)はそれに加え、最後の1字を「競」に疑う。様式論的には、遷陵抜の下に発信形式の「敢告」と受信者が記されていることが自然に感じられるが、圖版を見る限り、三字とも残留筆画は必ずしも「敢告競」と合わない。所謂「敢」の左半分はむしろ「故」の古偏に近く、「告」の下方は、口形と合わず、また「競」には不自然な縦方向の筆画が認められる。

背面第一行

朔:原釈文・校釈では「朔」に作るが、図版から判断する限り、残留筆画は必ずしもぴったり合わない。なお、様式論的にはこの位置には暦日が記されていることが確実と見られるが、残留筆画は干支の何れにも符合しない。所謂「朔」の前の残留筆画も干支とは字形が合わない。

□:張以靜「《里耶秦簡(貳)》讀札」は「敢」より上へ二つ目の未釈読字を「守」に釋するが、図版では確認できない。