釈読問題8-0132+8-0334

基礎形態:……

加工形態:……

特記事項:

本簡綴合據校釋一。

  

第二行

十一月己酉から十二月辛未までの期間は23日で、それが尉守狐の視事した期間であり、課の集計期間ではなかろう。類例を参照するに、簡J1⑦0304に記載されている死亡課では、標題は「某年課」となっており、年単位で集計がなされる。11 月から 12 月という狐の視事期間は年度の最初の四半期にあたるから、年単位の集計だとすると、集計期間と視事期間とでやや説明しにくい乖離が生じる。一方、漢~三国の出土資料には、3 ヶ月を集計単位とする四時簿もみられ、里耶秦簡でも「四時志」(簡8-0024+8-0331)や「三月壹上」(簡8-0434)といった表現がみうけられるから、本簡においても、集計期間が3 ヶ月間の可能性がある。その場合には、集計期間と視事期間との間に大きな乖離がなく、10 月から 12 月の集計を 12 月末に作成し、課作成者の狐について、課本文とは別途に、その視事期間、つまり責任期間を附記したと考えることができる。

第三行

第一行の人数が集計期間末尾の総人数だと仮定すれば、本簡の残欠部分は或いは次のように復元することができる。延べ人数は現存の人数に集計期間日数を乗じた数に、死亡者の人数にその労働従事日数を常時した数を足した和であろう。集計期間を三か月とした場合には、月の大小によって、小大小の 88日と大小大の89日の二つの可能性が考えられるが、下三桁が現存の626人に計算上合う状況は、集計期間を小大小の 88日と、死亡日を42日目(11月の途中)と設定してのみ得られる。その場合の延べ人数は「88日*143人+42日*1人=12626日人」という計算となる。原文は次のように補うことができる。
【某年十月盡十二月遷陵】宂募群戍卒百卌(四十)三人。 尉守狐課
【●泰凡積萬二千六百】廿(二十)六人。●死一人。 十一月己酉視事,盡十二月辛未。
【●𧗿之萬二千】六百廿六人而死一人。
集計期間を一年と仮定した場合、死亡日を10月4日とすれば、「354日*143人+4日*1人=50626日人」という計算で原文を次のように補うことができる。
【某年遷陵】宂募群戍卒百卌(四十)三人。 尉守狐課
【●泰凡積五萬六百】廿(二十)六人。●死一人。 十一月己酉視事,盡十二月辛未。
【●𧗿之五萬】六百廿六人而死一人。