釈読問題8-0100-1+8-0100-2+8-0100-3
基礎形態:……
加工形態:……
特記事項:
本簡の綴合は校釈による。原釈文は、8-0100という共通の整理番号を付けつつ、後綴りで区別して三つの簡に分けて分けて図版と釈文を収録している。校釈が指摘するように、本簡は、形状・木目・筆跡および行間がよく似ており、遥綴できると考えられる。
第一行
“ 敢”:「敢」の前には3文字分ほどの空白がある。おそらく文字が削除されている。
“明”:原釈文・校釈は「□」に作る。残欠のため疑問も残るが、残留筆画は完全に「明」に一致する。
第二行
“得”:原釈文・校釈は「□」に作る。残欠のため疑問も残るが、行人偏と寸形は明確に認識できる。
“非”:原釈文・校釈は「非」に作るが、上方に墨蹟の欠片が見えており、網がしらが消えた罪字の可能性も考えられる。「得非」よりも「得罪」の方が文意が通じる。
“□季”:校釈では、8-0100-3の第一行の「□季」を8-0100-3の第一行の真下に配置するが、木目などからすれば、恐らく左方に一行分ずらして遥綴する必要がある。以下も全て一行分ずらして釈読を行った。
第三行
“□”:原釈文・校釈は釈読しないが、簡の上端から「賤走」までの間に一文字分のスペースがあり、微かな墨蹟も認められる。
“死”:原釈文は「□、校釈は「九」に作る。左の三分の一が消えているが、右半分は人形、中央は歹の右半分の残画が確認できる。
第四行
“□”:校釈は「子」に作るが、原釈文に従って未釈読字に戻した。残画は「寸」に似ており、もと字の右下に位置していたようである。「得」等の可能性が考えられる。
“受”:原釈文・校釈は「□」に作る。下方の又形のみ欠けており、受字と確定できる。
“〼 〼”:簡8-0100-2は実際二つの断片から構成されており、下方の断片は左上の角が欠けているため、第三行の「受」以下および第四行の「不□ 」以下は簡面の一部が欠けている。第四行にあたる8-0100-2の下方には墨蹟は確認できない。
“□”:原釈文・校釈は「辛」に作るが、むしろ「書」に近い。欠損も多いため正確に釈読できない。原釈文と校釈は、簡8-0100-2の第四行を連続の七字(「□□□□□□辛」)もしくは六字(「不得□□□辛」)と釈読するが、明確な墨蹟が認められる字の間に字数が確認できない墨蹟の欠片や長い空白があり、残存の墨蹟だけでもとの文章が構成されていたとは考え難い。
第五行
“問”:原釈文・校釈は「□」に作るが、図版に基づいて補釈した。門構えの左方の戸形は明白で、中の口も輪郭が確認できる。右方の戸形は微かな影しか残存しない。なお、「間」の可能性も完全に排除できない。
“□”:原釈文・校釈は8-0100-1の第5行を一文字のみとするが、下方にもう一つの字の残画が確認できる。