語釈(官職名):史

史、書記資格保持者、必ずしも正規の官吏とは限らない。『説文解字』史部には、

史,記事者也。
史は、事を記す者なり。
といい、『周禮』天官·序官に
史,十有二人。
というのに対し、鄭玄は、
史,掌書者。
史は、書を掌る者なり。
と注釈する。「二年律令」に、
475 試史學童以十五篇、能風(諷)書五千字以上、乃得為史。(後略)
史の學童を試すに十五篇を以し、能(よ)く五千字以上を諷書せば、乃ち史と為るを得。
というように、試験によって史の資格が付与される。。嶽麓秦簡(肆)に
210 置吏律曰:縣除小佐毋(無)秩者,各除其縣中,皆擇除不更以下到士五(伍)史者爲佐,不足,益除君子子、大夫子、小爵
211 及公卒、士五(伍)子年十八歲以上備員。(後略)
置吏律に曰わく、縣、小佐の秩無き者を除するに、各々其の縣中に除せよ。皆な不更より以下士伍に到る史なる者を擇除して佐と爲せ。足らずんば、君子が子・大夫が子・小爵及び公卒・士伍が子の年十八歲以上なるを益除して員に備えよ。(後略) とあることから、史の資格保持者が佐の予備要員として位置づけられていたと考えられる。