語釈(官職名):具獄

具獄:『漢書』于定國傳および注に、

抱其具獄、哭於府上。(師古曰、具獄者、獄案已成、其文備具也。)

とあるように、論罪のために必要なすべての書類・記録、およびそれらが揃った状態をいう。動詞的用法の場合は、書類・記録を揃える行爲をいうのだろう。零陽縣で扱う獄事と關連する何らかが遷陵縣にあり、辨と平が具獄獄佐として派遣され、調査にあたったものと考えられる。また、9-0483+9-462によれば、辨と平は「遷陵廷」で執務していたことがうかがえる。なお、8-0133では、「酉陽具獄獄史」が遷陵司空に對する調査を行っている。

或遝。廿六年三月甲午、遷陵司空𥄎。尉乘城  〼
卒眞薄(簿)。
廿七年八月甲戌朔壬辰、酉陽具獄獄史啓敢言  〼
啓治所獄留須。敢言之。●封遷陵丞。……〼(8-0133正面)
八月癸巳、遷陵守丞陘告司空主。聽書從事。〼
起行司空。
八月癸巳水下四刻、走賢以來。/行半。(8-0133背面)

  また、J1⑩1170の「倉徒簿最」には、「男卅人與吏 具獄」「男卅人與史謝具獄」とあり、具獄には官吏とともに隸臣も携わっていたことがわかる。

(青木レジュメ2022年9月16日による)