語釈(官職名):治所

治所、治は「おさめる」・執務の意、治所は執務場所。多くは、公的出張者の一時的執務場所を指す。『漢書』朱博傳には、

使者行部還,詣治所。
使者、部を行(めぐ)りて還(かえ)り、治所に詣る。

とあり、顏師古は

治所,刺史所止理事處。
治所は、刺史の止まりて事を理(おさ)むる所の處。

と注釋する。里耶秦簡では、封檢のほか、簡8-0133には、

啓治所獄留須。
【……】啓が治所、獄留まりて須(ま)つ。

と。8-0144+ 8-0136には

謁報覆獄治所。
謁うらくは、覆獄が治所に報ぜよ。

という用例が見える。また、『奏讞書』事案18では、南郡卒史の執務場所を「治所」と稱する。

125 御史書以廿七年二月壬辰到南郡守府,卽下,甲午到篕(蓋)廬等治所。(後略)
御史が書、二十七年二月壬辰を以て南郡守府に到り、卽(ただ)ちに下し、甲午、篕廬らが治所に到る。