■共同研究プロジェクト詳細
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平成15年度(2003年度)共同研究プロジェクトの一覧
 
●重点共同研究プロジェクト
 
音韻に関する通言語的研究(主査:梶茂樹/所員18,共同研究員45)
 
 言語学の本来の研究分野は,音韻,形態,統語,意味であるが,そのなかでも音韻論は,長らく他の研究分野をリードしてきた。本研究プロジェクトは,音韻論のなかでも声調(tone)を中心とする超分節素(suprasegmentals)の研究をおこなう。
 世界に,声調言語は意外と多い。中国語諸方言やチベット・ビルマ系諸語,またベトナム語,タイ語などの東南アジア諸語,バンツー系やクワ系などのニジェール・コンゴ諸語,マサイ語やナンディ語などのナイル系諸語,南部アフリカのコイ・サン諸語,またアフロ・アジア系の中でもチャディック諸語,さらにはニューカレドニア諸語やアメリカ・インディアン諸語など。
 また,日本語やインド・ヨーロッパ系のスウェーデン語やセルボ・クロアティア語などのピッチ・アクセント諸語の研究も重要である。
 具体的な研究テーマとしては,声調,音調,アクセントなどの用語の整理と同時に,次のようなものが考えられる。
 
(1)声調(正確にはピッチ)の音声学的特性
(2)子音,母音といった分節素との関係
(3)個々の言語における声調の体系
(4)声調の語彙的,文法的機能
(5)声調言語とアクセント言語との違い
(6)世界の声調言語のタイポロジー
(7)声調の通時的変化と比較研究
(8)声調の発生と消滅
 
共同研究員 :
鮎澤孝子, 生駒美喜, 市田泰弘, 伊藤英人, 岩田礼, 上田広美, 上野善道, 遠藤光暁, 大江孝男, 岡崎正男, 加藤昌彦, 角谷征昭, 上岡弘二, 神谷俊郎, 木部暢子, 久保智之, 窪薗晴夫, 坂本恭章, 品川大輔, 清水克正, 鈴木玲子, 杉藤美代子, 田中伸一, 壇辻正剛, 中井幸比古, 中嶋幹起, 中西裕樹, 中野暁雄, 長尾美武, 長野泰彦, 新田哲夫, 林徹, 早田輝洋, 原口庄輔, 平山久雄, 福井玲, 堀博文, 前田洋, 松森晶子, 箕浦信勝, 藪司郎, 湯川恭敏, 米田信子, 吉田浩美 ドナ・M・エリクソン・スミス
 
アフリカ・アジアにおける政治文化の動態(主査:小川了/所員14,共同研究員61)
 
 21世紀を目前に控えた今日,地球社会は「グローバル化」を求める言説に席巻されている観がある。規制緩和と公正な市場競争によって個人の努力が正当に報われる社会を実現しようという主張である。だが現実には,競争から脱落する不幸な人々の群れが目につく一方,グローバル化の先にいかなる未来が待っているのか,明確なヴィジョンを誰も示し得ずにいる。内外を問わず,ある種の閉塞感が蔓延するゆえんである。
 本プロジェクトは,このような閉塞感を打破すべく,アジア・アフリカの政治文化に焦点を当てる。アジア・アフリカはすでに19世紀から植民地化という名の,西欧的体系への規格化・標準化を経験しており,現在進行中のグローバル化に対しても適合と反発,両方の対応を見せている。すなわち,本プロジェクトの目的は,アジア・アフリカの様々な政治文化を多角的に調査・研究することを通じて,一般に流布しているグローバル化の言説を相対化し,地球社会の文化創造のための新たなパラダイムを提示することにある。
 この目的を達成するため,本プロジェクトでは6つのサブグループを設置する。
 
「近代国家機構の形成」
「ナショナリズムとインターナショナリズム」
「多民族統合メカニズムの比較」
「言語共同体と言語政策」
「移動と越境」
「国家・宗教・市民社会」
 
 これにより,アジア・アフリカにおける多様な政治文化の成立過程を明らかにし,国家を軸とする画一性と多様性との拮抗関係を探り,国家の枠に収まらない様々な動きや組織の現状を捉えることができると考える。
 
共同研究員 :
赤嶺淳, 粟屋利江, 李妍淑, 井坂理穂 石川登, 伊藤眞, 上杉富之, 遠藤貢, 王柳蘭, 大石高志, 大林稔, 落合雄彦, 粕谷元, 勝俣誠, 桐山昇, 楠瀬佳子, 栗本英世, 高榮珍, 小泉真理, 小杉泰, 近藤光博, 佐藤章, 佐原徹哉, 嶋田義仁, 清水展, 菅原由美, 鈴木茂, 砂野幸稔, 芹澤知広, 武内進一, 竹沢尚一郎, 竹村景子, 田中雅一, 田村慶子, 陳天璽 津田みわ, 富沢寿勇, 内藤雅雄, 長津一史, 西村俊一, 子島進, 信田敏宏, 濱元聡子, 林行夫, 速水洋子, 馬場孝, 稗田乃, 牧野久美子, 松田素二, 溝上富夫, 宮本正興, 宮脇幸生, 村田奈々子, 森孝一, 山下晋司, 山本博之, 吉國恒雄, 吉澤誠一郎, 吉田憲司, 和崎春日, モアペ・フェンソン・アラム
 
●一般共同研究プロジェクト
 
旅と表象の比較研究(第二期)(主査:高知尾仁/所員5,共同研究員12)
 
 この研究は,他者との出会いを提示し,他者の言表と他者世界が表象するものを解釈し,他者文化の持つ多様な意味を構成する旅のディスクールを主要な対象とする。その際,他者言説を生むコンテクストや,他者の自己(自己文化)との距離・差異の構築や,他者表象が持つ価値評価などが問題となると思われる。他者が直接的に語られるという前提への疑問と,他者表象のバイアスと他者についてのディスクールそれ自体が充分に見つめられなかったことへの反省として,近年欧米で飛躍的に研究が進められている旅行記研究に対応して,ここでは,近代ヨーロッパ(ルネサンス以降)の旅のテクストとそのほかの文化の旅のテクストを取り上げるとともに,他者についての多種多様な表象形態や,それに関連した諸理念(例えば,秩序,正義,正統,コスモス)の表象化についても研究の対象とする。
 従って,この研究では,旅論・表象論・他者論とそれらの交差する領域が取り扱われることとなる。このような比較研究によって,エクリチュールを有する文化による,他者と他者のいる場所と時間の配置・配列が明らかにされ,またその文化と他者との関係性(例えば,理想,調和,幻想,混乱,絶望,排除)を提示するディスクールが明らかにされるものと期待される。
 またさらには,他者に対比された自己(自己文化)のアイデンティティの提示の実体や,文化の普遍性や近代というディスクールについても考察されることが期待される。
 第1期の研究に継続して,第2期では,「旅の研究」を「人文主義・人文科学における現地(field)主義の系譜学の研究」へと展開し,「他者表象の研究」を「世界表象のモーメントとしての両(東西)インド表象の研究」へと展開する。
共同研究員:
浅井雅志, 荒木正純, 彌永信美, 齋藤晃, 重松伸司, 田中純男, 谷口智子, 難波美和子, 西尾哲夫, 原毅彦, 原田健一, 渡辺公三
 
東アジアの社会変容と国際環境(主査:中見立夫/所員3,共同研究員33)
 
 近年における国際情勢の変化と学術交流の発展によって,われわれ歴史学研究者は東アジア各地域の文書館・図書館などに所蔵される一次資料に対し,以前とは比べられないほど容易に接近できるようになった。さらに,現地学界でも,あらたな歴史評価・研究動向がおこり,われわれの研究への刺激となっている。ただ対象とすべき史料の量があまりに膨大で,その実態を体系的に把握してはいない。
 また,個別の研究が深化するとともに,より大きな視野のもとに,問題をとらえなおし,分析枠組みを再検討することも必要である。さらに海外学界との共同研究,史料調査も,双方にとって,より具体的で実りの多い形で推進しなければならない。
 本プロジェクトでは,このような研究状況を念頭におきながら,18世紀から20世紀初頭の東アジア世界各地域における社会の変容が,外部世界とどのように有機的に連関していたかという問題を中心にすえ,文書史料によりそれがどこまであきらかにできるか検討する。東アジアに関する史料と研究情報の開かれたフォーラムをめざしている。
 毎回テーマをかえながら,海外からのゲスト・スピーカーもまじえ,シンポジウム形式で研究会を開催し,また『東アジア史資料叢刊』などの出版物も刊行している。
 本年度は、日露戦争期の東アジア国際関係史に関するシンポジウム、および日本所在朝鮮王朝時代古文書の研究会をおこなう予定
 
共同研究員:
赤嶺守, 石井明, 石濱裕美子, 井上治, 井村哲郎, 江夏由樹, 岡洋樹, 岡本隆司, 尾形洋一, 小野和子, 笠原十九司, 加藤直人, 貴志俊彦, 岸本美緒, 楠木賢道, 佐々木揚, 新免康, 菅原純, 坪井善明, 寺山恭輔, 中村義, 西村成雄, 萩原守, 浜下武志, 原暉之, 藤井昇三, 細谷良夫, 松重充浩, 毛里和子, 森川哲雄, 森山茂徳, 柳澤明, 吉澤誠一郎
 
西南中国非漢族の歴史に関する総合的研究(主査:クリスチャン・ダニエルス/所員5,共同研究員17)
 
 現在の西南中国は,もともと非漢族の居住地域であり,中国歴代王朝の支配下に少しずつ組み込まれていく歴史をもつ地域である。元明清を通じて,漢民族移民の増大と歴代王朝の統治政策によって,多くの非漢族が中央政府に直接支配されるようになり,そのことによって民族移動が激しくなり,非漢族の土着社会に大きな変容がおこり,東南アジア大陸部へ移住する非漢族も出現した。だが,従来この歴史過程を総合的に分析する研究は僅少であった。
 本プロジェクトの目的は,(1)西南中国非漢族の歴史に関する研究発表,(2)史(資)料の発掘・収集・整理をおこなうことによって,従来注目されることのなかったこの地域の歴史に対する研究を促進することにある。なお,方法論として非漢族を主体とした分析視点を重視すると同時に,歴史学者以外に文化人類学,民族学,民俗学,言語学などの専門家の参加によって学際的なアプローチの構築をめざす。
 なお,本研究所の「歴史・民族叢書」では,『雲南少数民族伝統生産工具図録』,『四川の考古と民俗』及び『西南中国伝統生産工具図録』を刊行している。今まで本プロジェクトにおいて、(1)西南中国非漢族の歴史に関する研究発表と(2)史(資)の発掘・収集・整理 という基本目的に沿って研究を進めてきた。2002年度に完成される予定の《貴州苗 族林業契約文書匯編》第三巻史料編・研究編に続き、2003年度において、16世紀から19世紀まで雲南南部の山地解発 を重点的に研究する。実地調査によって収集された碑文などの史料の分析を通じて、漢族が山地に移住して生態系を改変した歴史過程を明らかにする予定である。
 
共同研究員:
井上徹, 上田信, 上西泰之, 菊池秀明, 岸本美緒, 末成道男, 武内房司, 多田狷介, 谷口房男, 張士陽, 塚田誠之, 寺田浩明, 林謙一郎, 吉澤誠一郎, 吉野晃, 渡辺佳成, 渡部武
 
アル=アフガーニーとイスラームの「近代」(主査:飯塚正人/所員2,共同研究員23)
 
 イラン生まれのジャマール・アッディーン・アル=アフガーニー(1897年没)は,生涯にアフガニスタン,インド,エジプト,トルコといったイスラーム圏の各地とヨーロッパ諸国を訪れ,19世紀後半以降のイスラーム世界の歴史に大きな思想的影響を与えた革命家である。彼は伝統的イスラーム思想の改革や専制政治の打破など,ムスリム社会内部における変革の必要を唱える一方,各地でヨーロッパの侵出に対するムスリムの団結(パン=イスラミズム)を説いて回った。エジプトのオラービー運動,イランのタバコ・ボイコット運動など,19世紀末に各地で起きた「民族」運動も,彼の存在を抜きにして語ることはできないし,現在イスラーム世界が直面している思想的課題のほとんどはアル=アフガーニーのもとですでに予感されていたといっても過言ではない。
 本プロジェクトは,1997年に没後100年を迎えたこの偉大な革命家の思想や足跡,各地における評価などを総合的に分析することによって,最終的にはイスラーム世界における「近代」の意味まで問い直すことをめざす。また,これと並行して,アル=アフガーニーが弟子のムハンマド・アブドゥフとともに,1884年にパリで創刊した雑誌『固き絆』の邦訳も進めていく予定である。
 
共同研究員 :
新井政美, 池内恵, 大石高志, 大塚和夫, 帯谷知可, 加賀谷寛, 粕谷元, 菊地達也, 栗田禎子, 小杉泰, 小松久男, 酒井啓子, 澤江史子, 嶋尾孔仁子, 富田健次, 中田考, 中西久枝, 中村覚, 八尾師誠, 松永泰行, 松本弘, 三木亘, 吉村慎太郎
 
インド洋海域世界の発展的研究(主査:深澤秀夫/所員3,共同研究員15)
 
 紀元前数世紀に現れ8世紀から確固たるものとなり,インド亜大陸を挟んで東アフリカからアラビア地域と東南アジア地域とを結ぶ交易や移住や巡礼による人と物との移動が生み出した文化・社会的に多元的でありかつ歴史的に重層的なネットワークこそが,インド洋海域世界である。この海域世界は,16世紀以降のヨーロッパ世界のインド洋への進出とそれに伴う近代世界システムの確立によって破壊されるどころか,それがもたらした植民地化や奴隷制や契約移民制は新たな人々の出会いを促進し流動性を高めまた居住地域を拡大した結果,その多元性と重層性をより一層複雑化させると共に動態的な性格を加速することとなった。それゆえ,インド洋においては,ブローデルの『地中海』やA.リードの『交易時代の東南アジア』に示された包括的かつ微視的な歴史学の視点がとりわけ有効性を持つものである。
 本研究プロジェクトにおいては、個別文化・社会研究の成果を、<インド洋海域世界>の歴史的成立過程とその展開の通時的研究に導き入れること、またその通時的視点を共時的な個別文化・社会研究に再還元することの可能性を検討する。<インド洋海域世界>についてのこのような視点による考察は、局所的には地域研究に寄与するのみならず、グローバル化する現代世界の中における多元・多文化的な人の在り方に対し、具体的なモデルの提示をも招来するものである。
 本プロジェクトの成果は,フィールドワークに基づいたインド洋海域世界の個別文化・社会についての記述的なモノグラフおよびインド洋海域世界像に迫る論考集あるいは画像集として公開していく予定である。
 
共同研究員 :
秋道智彌, 飯田卓, 飯田優美, 川床睦夫, 崎山理, 杉本星子, 高桑史子, 田中耕司, 富永智津子, 花渕馨也, 堀内孝, 松浦章, 森山工, 門田修, 家島彦一
 
社会空間と変容する宗教(主査:西井凉子/所員7,共同研究員14)詳細について(西井ホームページ)
 
 人類学においては個人対社会,主観対客観といった二項対立的な問題設定を前提としていることが多い。この共同研究プロジェクトは,こうした前提を超えて,いかに人々の経験のリアリティを捉えることができるのかについての,人類学的な理論的展望をひらくことを目的とする。ここでいう社会空間とは,主体の実践のスペース,もしくは実践において他者と相互作用しつつ構築する社会関係の総体をさす。そこにおいては,実践主体はいかに重層する諸関係とかかわりながら自己を維持し構成するのかが問題となる。そこからあらためて,社会的なるものが問われることになろう。このような社会科学の中心的ともいえる課題を追求するために,研究会は人類学者を中心としながらも,心理学,社会思想等の隣接分野の研究者の参加をあおぎ,学際的な共同作業による理論の構築をめざす。
 本プロジェクトでは,こうした課題を追求するにあたり,宗教といった現象に焦点をあわせることで,個々のメンバーの事例報告の羅列に終わることを避け,より議論を建設的に深めようとする意図をもっている。高度経済成長に伴う大衆消費社会の出現,情報社会化,国際化のなかで,人々は宗教的な実践を多様化,差異化させている。このような宗教,あるいは宗教的なものの経験をとおして,再編成されていく社会関係のあり方を考察することは,社会空間の概念を歴史的文脈において検討することを可能にするものと思われる。
 
共同研究員 :
青木恵理子, 今村仁司, 高木光太郎, 高崎恵, 田中雅一, 田邉繁治, 田村愛理, 土佐桂子, 名和克郎, 西本陽一, 平井京之介, 本田洋, 箭内匡, 矢野秀武
 
日本占領期ビルマ(1942-45)に関する総合的歴史研究 (主査:根本敬/所員2,共同研究員8) )
 
 本プロジェクトは,日本占領期のビルマ(1942-45年)に関する歴史を,政治・経済・軍事・農業・文化・民衆動向・少数民族・従軍慰安婦の諸角度から実証的な検証を加え,総合的に理解することを目的としている。その際,占領されたビルマ側に重点を置きつつ,占領した日本側の意図と占領政策の実態についても充分に注目するつもりである。
 トヨタ財団の計画助成を受けながら,ビルマ、英国、米国での資料調査を実施し、また聞き取りを中心とする国内調査をおこなう。研究会を聞き取り調査とあわせて実施する予定である。なお、3年計画であるが、4年目も継続し、シンポジウムと成果刊行物出版にむけた準備を行なう見込みである。成果の出版は2005年の予定(英文および和文の論文集、インタビュー、記録集、資料文献、解題の3種)
 
共同研究員 :
池田一人, 伊野憲治, 岩城高広, 内山史子, 高橋昭雄, 武島良成, 南田みどり, 森川万智子
 
修辞学の情報学的再考(主査:小田淳一/所員6,共同研究員18)
 
 古典修辞学の諸部門の中で19世紀まで存続したのは「表現法(elocutio)」のみであるが,20世紀半ばから始まった修辞学の復権は表現法を,テクストを構成する諸要素間の範列的関係及び連辞的関係におけるコード変換の技法として,実体的な要素単位に対して直接作用する操作であると見なすに至っている。
 本プロジェクトは言語表現,音楽表現,映像表現等の作り手,またそれらの表現を様々な手法を用いて分析している研究者を共同研究員に加え,芸術の美的価値をある構造の関数として記述するという,一元的な芸術=形式論に基づく「形式的構造の研究」としての一般修辞学を情報学的に考察することによって,様々な形式を持つ言語文化情報に偏在する修辞学的技法のレパートリーを明らかにすることを目的とする。
 2001年度は,身体,物語,映像,音楽等のテクスト分析における修辞学の関与可能性について一連の報告を行ったが,2002年度は,修辞学そのものに内在する汎用的な技法を個別的に検証すると共に,より多様な形態のテクストを修辞学的に扱った報告を行う予定である。
 
共同研究員 :
青柳悦子, 石井満, 宇佐美隆憲, 内海彰, 小方孝, 徃住彰文, 金井明人, 上村龍太郎, 佐藤みどり, 永崎研宣, 永野光浩, 難波雅紀, 西尾哲夫, 平井覚, 堀内正樹, 松本みどり, 水野信男, 良峯徳和
 
間大西洋アフリカ系諸社会における20世紀<個体形成>の比較研究 (主査:真島一郎/所員4,共同研究員29)
 
 21世紀転換期の人文社会系諸学でこれまでに発現をみてきたさまざまな思潮の底流にあるのは,西欧近代の市民原理に裏打ちされ相互に交錯しつつ成立した三様のレヴェルにおける歴史主体-<国家><民族><個人>-のありようを複数の視角から根本的に問いなおしていく,主体の問いなおし作業にほかならなかった。本プロジェクトがめざすのは,このうち国家や民族の“揺らぎ”とは対照的に主体としての権利づけが複数性のうちでつねに代補・更新されつつ,非西洋世界における記憶,声,身体,ジェンダー,あるいはクレオール,ディアスポラ,サバルタン,マイノリティ,市民(市民社会,世界市民…)といった数々の言説空間の内で中核を占めてきた第三の主体概念<個人>の位置づけについて,20世紀・間大西洋アフリカ系諸社会における特定の個々人の生の深みにまでさかのぼった具体の場からこれを問いなおし,比較検討していく作業である。アフリカ大陸・島嶼部の諸社会,カリブ・中南米のアフロ系諸社会,およびアメリカ合衆国のアフリカ系コミュニティを対象とする人類学,歴史学,政治学,文学など多分野の研究者から構成された共同研究によりその際とくに焦点があてられるのは,自己による自己の生を通じた表象形成と,他者による他者の情報を介した表象形成との交叉点で成立する,<個体化=個体形成individualization>の歴史・文化的動態となるだろう。
 
共同研究員 :
阿部小涼, 荒井芳廣, 岩田晋典, 梅屋潔, 遠藤貢, 大辻千恵子, 大森一輝, 落合雄彦, 北川勝彦, 工藤多香子, 栗本英世, 小池郁子, 崎山政毅, 佐久間寛, 佐々木孝弘, 柴田佳子, 鈴木茂, 鈴木慎一郎, 武内進一, 竹中興慈, 中條献, 津田みわ, 中林伸浩, 浜邦彦, 樋口映美, 星埜守之, 松田素二, 矢澤達宏, 渡辺公三
 
文法記述の方法の研究(主査:中山俊秀/所員2,共同研究員4))
 
 個別言語の文法構造の記述は、良くも悪くも「客観的事実の前理論的列記」と考えられることがある。そのために、記述に携わるものも、またその記述を形式理論構築に活用するものも、当の記述の理論的含みに対して無反省、無批判である場合が多い。しかし実際には、「記述」という作業は高度に理論的な考察、決断の積み重ねであり、そうしてまとめられた文法は理論的に中立な事実の羅列ではありえない。とすれば、対象言語の本質を真に捉えた記述というものは、記述の枠組み、分析の単位、用いられる基本概念などを注意深く検討、規定する過程を通らずには達成しえない。そこで、このプロジェクトでは、文法記述に携わっている研究者が集まり、文法記述に際してさまざまなレベルでなされなければならない理論的考察および決断の数々を意識的に見据え、検討していく。なお、このプロジェクトでは、できるだけ問題を深く掘り下げ、実際の記述に即した議論、検討を進めるため、少人数での集中研究会の形式を取る。
 
共同研究員 :
阿部優子, 蝦名大助, 加藤昌彦, 笹間史子,
 
中国律学研究(主査:陶安あんど/所員1,共同研究員1)
 
 中国の律学は,後漢から唐代初期にかけて隆盛を極め,法律の伝承及び漸次的な体系化を通じて,法典の形成に寄与した。その影響は,法典の編纂と施行という国家の一時的な権力介入よりも大きいように思われる。というのは,国家の論理では,確かに法典は主権者の命令によって始めて効力を賦与され,編纂過程において一時的に学者の手を借りるにしても,主導権は国家が握り,法典の施行も主権者の名義においてなされる。しかし,長期的な歴史過程から判断すれば,国家の編纂活動はまれに行われる突発的な出来事に過ぎない。その存在は,果てしない太平洋に浮かぶ小さな島々に喩えられよう。その間の橋渡しは,法律資料の蒐集,保存ないし整理活動によってなされるが,唐代以前の中国国家はまだ自前の文書行政によってこの機能を果たすことができなった。法典編纂という突発的な出来事から遡って,そこに駆り出される学者の系譜や彼らが所有している法律資料の来歴を調べてみると,律学が,各王朝による散発的な法典編纂をつなぐ生命線となっているように思われる。
 本研究プロジェクトは,「律学」を「律」と「学」とに分けて,当時の法律,ひいては国家との関わり方と,学問体系における律学の位置という二つの方面から,律学に肉薄しようと考える。前者については,官僚機構における律学者の位置と,律学者間における法律資料ないし法的知識の伝承の仕方を分析する。これは主として正史に基づく律学者の学問的系譜と官僚としての経歴の検討,および一般的な官僚経歴との比較検討によって遂行される。後者については,経学と小学(文字学)における今古文論争の推移を手掛かりに,学問体系の大きな地殻変動に即して律学の変遷を追跡する。古代の経学,小学と律学は,先王や歴史の権威,もしくは国家権力によって所与として与えられた材料に依拠しつつも,実際は,断片的な材料を輯佚して知の体系化を図ることを通じて始めて,経典,字典と法典を創出している。この共通点に着目して,法典の非国家的な形成を解明しようと考える。
 
共同研究員 :
石岡浩,
 
Studies on African Languages(主査:松下周二/所員3,共同研究員18)
 
 本プロジェクトは,アフリカ大陸を,サハラ以北・以南,東アフリカ・西アフリカ等のように分断することなくとらえ,種々の語族,国家,民族とかかわるアフリカの諸言語を,広い視野から分析・考察していくことを目的とする。現地調査に基づく、地道ながらもオリジナルな研究を主流としつつ、文献資料に基づく緻密な考察をも加え、さまざまな歴史・文化の交錯するアフリカの言語の実情を,多彩な研究者の間で共有し,明らかにしていきたい。
 
具体的な活動計画:
1)年間3乃至4回の研究会を開き,2〜3名による口頭発表およびそれに基づく討論を行う。
2)研究会では、自由発表のほか、その回のテーマを設定し、共同研究員や研究協力者に、個別の言語のデータを提示してもらい、それをもとにディスカッションをおこなうという形式も考えている。
3)研究会の成果は,発表者による,AA研Journal等への投稿を要請する等,紙媒体での公表はもちろんのこと,本プロジェクトのウェブサイトを整備し,すみやかにウェブ上で公開していく。
4)本プロジェクトのウェブサイトでは,研究会で口頭発表されたものでなくとも,アフリカの言語研究に関する論文や書評等を積極的に受理・公開する。
5)その他,共同研究員等から寄せられた,アフリカ言語学やそれに関連する学会等の情報を,ウェブサイトにおいて告知していく。
6)ウェブサイトと並行して,メーリング・リストによる迅速な情報交換を行なう。
7)ときには,在日アフリカ人等を交えた懇親の場を設け,広い意味での異文化交流も図っていきたいと考えている。
 
共同研究員 :
安部麻矢, 阿部優子, 神谷俊郎, 小森淳子, 榮谷温子, 佐藤道雄, 塩田勝彦, 砂野幸稔, 竹村景子, 柘植洋一, 中野暁雄, 中村博一, 日野舜也, 宮本律子, 米田信子, 若狭基道, ジョン・エドワード・フィリップス, ロバート・R・ラトクリフ
 
土地・自然資源をめぐる認識・実践・表象過程(主査:河合香吏/所員6,共同研究員8)
 
 本研究プロジェクトは,アジア・アフリカの諸社会において土地や自然資源をめぐって現在進行しつつある状況を,利用や所有にかんする形態や制度論にとどまることなく,生活のさまざまな文脈において生起する人びとの具体的な実践から,その生活世界を統合的に把握することによって解析するものである。
 土地は,名づけられ,語られ,歴史を付与されたものであるとともに,生活実践の場として,そこに身をおき,身体をもって働きかける,あるいは見,聞き,ふれることによって身体において「知る」対象であるといった意味において,身体性とも深くかかわる。こうした土地,およびこれに付随する自然資源は,外在的な認識の対象にとどまらず,人びとにとって「生きられる世界の全体」としてあつかいうる。このような視点を採用することによって,土地や自然資源をめぐる認識・実践・表象という問題系を,実用主義と主知主義,実体論と象徴論の二項対立的な図式をこえて,身体,記憶,歴史,他者といった要素を取りこみながら「生」の全体を包括した文化・社会理論を構築するための方法論と解析手法として提示することが可能となる。
 本プロジェクトでは、土地・自然資源の利用や領有の実態、および認識と表象過程についておのの社会のおかれた状況をふまえて比較検討する。さらに、土地や自然資源をめぐる人びとの多彩な実践を、具体的な「生」の現場としての土地をめぐる自然観・環境認識の問題系としてあつかい、民族の歴史や集団間関係、国家政策との関係をもふくめた「生」の現場から考察することを目指す。
 プロジェクト2年目は、1年目の討論・成果をふまえ、さらに言語文化と自然ないし生態とを結びつけうる統合的な議論の場をめざす。あらたな視点と方法論を模索、開拓しつつ、その可能性を議論してゆきたい。
 
共同研究員 :
梅崎昌裕, 北村光二, 小松かおり, 椎野若菜, 杉山祐子, 津村宏臣, 寺嶋秀明, 吉村郊子,
 
言語基礎論の構築(主査:峰岸真琴/所員4,共同研究員5)
 
 現代の言語理論は,西欧諸語の研究に深く根ざしたものを中心に展開されてきた。西欧語型の言語理論の枠組みが多くの非ヨーロッパ的言語の理論的考察に広く適用されていく中で,言語構造のタイプの違いからくる分析上の問題点は多く指摘されてきたが,これまでは,結局,従来理論の完成度の問題として対処され,西欧語型理論が基礎をおく前提概念,カテゴリーに対して具体的な反省が及ぶことはなかった。また,記述言語学者の側も,個々の言語記述において,そのような伝統的前提概念やカテゴリーを,十分に反省を加えることなく,基本的枠組みとして踏襲することが決して少なくなく,その結果,それぞれの言語の特徴に即した記述であるべきものが,はからずも「西欧語から見た記述」になってしまっていることも多い。
 本プロジェクトでは,従来の言語理論,言語記述のあり方を問い直し,言語研究の新しい展開のための基盤を作ることを目的とする。そのために,現行および過去の言語理論について,その基礎概念,カテゴリーを再検討し,通言語的視野に立った枠組みの可能性を検討する。
 
共同研究員 :
加藤重広, 佐久間淳一, 沈力, 町田健, 籾山洋介,
 
「社会文化動態の比較研究 − 北部南アジアの動きから」(主査:石井溥/所員1,共同研究員20)
 
 人類学において比較研究は不可欠であるが、それを方法として確立することは大変に難しい。これは静態の比較についてすでに言われているが、動態の比較はさらに大きな問題である。しかし揺れ動く世界の中にある社会文化を把握しようとする場合、動態の比較は、分析の視点として大いに重要である。
 ここでは、北部南アジア[インド(南部4州以外)、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、ブータン]を主な対象地域とし、その諸側面の変化を捉え、相互の比較を行いつつ分析を深める。北部南アジアは英植民地権力の影響が直接的であった地域と間接的であった地域を含み、宗教的にも多様で、また、近年、経済自由化、「民主化」あるいは独特の国民形成などの多様な国家レベルの変化を経験している。
 本共同研究では、このような地域における社会文化変化の分析とその比較をとおして、人類学研究における比較方法の洗練を目指す。
 
共同研究員 :
今井史子, 上杉妙子, 鹿野勝彦, 小牧幸代, 佐藤斉華, 橘健一, 田辺明生, 外川昌彦, 中谷純江, 中谷哲弥, K.マハラジャン, 三尾稔, 南真木人, 宮本万里, 森本泉, 八木祐子, 安野早己, 山本真弓, 山本勇次, 渡辺和之,
 
「無文字社会における「むかし」を知るには??無文字社会の過去を知るための研究とその手法開発?」(主査:加賀谷良平/所員5,共同研究員18)
 
 初年度にあたる2003年度は、これまでの様々な研究方法の検討とこれまでに何が解ってきたかをまとめ、次にいかなる方法により何が解明できるかを検討する。さらに、主として言語学資料および「もの」と技術の開発と伝播から、どの程度のことが解るかと言うことを検討する。さらに、これらの資料収集、特に「もの」についての資料収集の合理的方法を検討する。
 
共同研究員 :
飯田卓, 池谷和信, 井関和代, 亀井哲也, 慶田勝彦, 佐々木重洋, 佐藤俊, 竹沢尚一郎, 鳥山寛, 中野暁雄, 西田正規, 日野舜也, 藤井麻湖, 丸尾聡, 三木亘, 森口恒一, 吉田憲司, 和田正平,
 
「イスラーム写本・文書資料の総合的研究」(主査:羽田享一/所員3,共同研究員16)
 
 イスラーム世界で著され、記された歴史的文化的遺産である写本・文書資料の総合的研究を目的としている。アラビア語、ペルシア語、オスマン・チャガタイ両トルコ語の写本・文書が主な対象となる。写本、文書の利用は今日の学界ではあたりまえのこととなっているが、写本・文書資料利用のための方法論については十分な議論が尽くされていないまま進んでいるのが現状である。
 そこで、現在、日本の各地で行われている写本研究・文書研究をネットワーク化し、写本学、古文書学を踏まえた研究会を積み重ね、相互の知見を交換する。また、少人数からなる作業グループを編成し、写本・文書資料の校訂、翻訳を推進する。成果は可能な限り、研究所の出版物として刊行する。
 
共同研究員 :
磯貝健一, 江川ひかり, 大河原知樹, 大稔哲也, 小野浩, 久保一之, 後藤敦子, 清水和裕, 高松洋一, 林佳世子, 真下裕之, 守川知子, 森本一夫, 家島彦一, 矢島洋一, 山口昭彦,
 
「中国系移民の土着化/クレオール化/華人化についての人類学的研究」(主査:三尾裕子/所員2,共同研究員13)
 
 本研究では、海外中国人(本研究では、地政学的な「中国」の外に移住した中国系の人々を指す用語として用いる)を対象に、海外中国人を同質的,単一的に表象する従来の人文・社会科学の諸研究に共通した分析視点を批判的に再検討し、新たな海外中国人像(華人/チャイニーズ・クレオール等)や「民族」概念を再構築することを目的とする。具体的には、以下の諸点を明らかにする。
 (1)従来の諸研究において代表的な海外中国人として表象されてきた、ホスト社会の中で経済的・文化的ヘゲモニーを掌握した都市在住の「華人(所謂現地国籍を取得した中国人意識を持った人々)」だけではなく、マイノリティ、あるいは周縁的存在となり、現地化が進んだチャイニーズ・クレオール等を含む多様な海外中国人の社会文化の実態、そしてそれらの人々のアイデンティティ形成過程と現状。
 (2) ホスト社会と海外中国人社会との相互作用及びそれによって生まれるアイデンティティの多様性(土着化/クレオール化/華人化)とその文化的特質の関係性。また、海外中国人社会との接触によるホスト社会の変容。
 (3) ホスト社会と海外中国人との相互作用、国民国家化、ローカル/グローバルの関係性から生じる、海外中国人が関わる民族カテゴリーとそのエスニック・ポリティックスの実態の把握。及びこれらから再構築される民族カテゴリーを事例として、文化人類学における民族論、クレオール概念について行う再考と新たな「民族」概念の提示。
 研究会とは別に、東南アジア(ベトナム、マレーシア、フィリピン)に限定した科研(海外学術)を申請中。AA研プロジェクトは、科研費で行った調査の報告を行うだけではなく、科研で取扱わない地域の事例−特に、東南アジアから欧米などへの再移民など−についての研究を行う。また、海外では自民族研究として華人研究がなされている傾向が強いことから、「華人研究の言説」についての研究なども行う。
 
共同研究員 :
板垣明美, 市川哲, 甲斐勝二, 桑山敬己, 貞好康志, 末成道男, 菅谷成子, 芹澤知広, 田村和彦, 田村克己, 中西裕二, 舛谷鋭, 宮原曉,
 
「ビルマ地誌フォーラム」(主査:澤田英夫/所員2,共同研究員8)
 
 第二次世界大戦前の刊行物以降、ビルマ(ミャンマ ー)の地誌・地名辞典は作成されていない。このことは、この国の独立以後現在に至るまでの地名や行政区分の変更、および、人文・社会科学諸分野の研究によって明らかにされた情報を盛り込んだ包括的な地誌の欠如を意味する。また、戦前の刊行物の地名表記の綴りはおおむね英語化されたものであり、正確なビルマ語表記も、モン語・シャン語など少数民族言語由来の地名に関する情報も含んでいない。これまでのビルマ研究の成果を集大成し、さらなる発展へとつなげていくために、上記2点の不備を補う新しい地誌データベースの構築はぜひとも必要である。
 
共同研究員 :
伊東利勝, 伊野憲治, 岩城高広, エー・チャン, 高谷紀夫, 高橋昭雄, 土佐桂子, 渡辺佳成,
 
●所外からの代表による共同研究プロジェクト
 
 
浅井・小川未整理資料の分類・整理・研究(主査:土田滋(所外)/所員4,共同研究員10)
 
 AA研には、1970年に浅井恵倫博士の所蔵していた書籍を中心として、浅井文庫が設置された。しかし、既に公開された書籍の他に、台湾原住民に関する貴重な一次資料(フィールドノート、語彙集等、写真などのアルバムやフィルム、原稿、書簡、単語カード、音声資料、8ミリフィルム、未発表の高砂族伝説集検索カード、浅井の大先輩でもある小川尚義の講義ノート等)があり、そのほとんどは未整理・未公開である。これらの中には、戦災で現物が消失した『スピリツアル修行』のマニラ本のフィルムや台湾の平埔族関係の清代に作られた土地契約文書の原本なども含まれており、これらは、現在では既に手に入れることがほとんど不可能である。また、台湾の原住民のうち、平埔族については、既に平埔族自体が漢化してしまっており、独自の言語、文化のほとんどを失っている。このような事実から考えれば、浅井博士の残した資料は大変重要な資料であるということが出来、早急に分類・整理を行って公開することが必要と考えられる。
 このような状況に鑑み、本プロジェクトは、浅井博士及び小川尚義博士の残した一次資料の整理・分類を行い、この方面の研究者の研究の利便を図るために、電子媒体を中心として公開していく事業を進めてきた。既に、新港文書、浅井・小川自身によるフィールドノートや彼らが収集した一次資料、写真資料をホームページで公開している。平成15年度は、写真資料のオンラインカタログの整備、動画、音源などについての整理と分類、解析を行う。本研究の成果に関しては,jcs.aa.tufs.ac.jp/Asai/を参照されたい。
 
共同研究員 :
笠原政治, 清水純, 末成道男, 谷智子, 土田滋, 中西裕二, 宮岡真央子, 森口恒一, 山本芳美, 吉澤誠一郎,