文字資料

バガン期の文字資料としては、大きく分けて「刻まれたもの」と「書かれたもの」があります。

「刻まれた文字」の代表は、石碑に刻まれた文字、いわゆる「碑文」です。この他に、鐘などに刻まれた「銘文」があります。煉瓦やテラコッタ板、粘土製の奉納板や印章などに彫られた文字もこの類に含めることができるでしょう。

「書かれた文字」とは、寺院の内部に墨書きされた「墨文」のことです。仏典や仏教に関する内容を記したもの、子供が生まれた時に作るザーター(出生天宮図)、壁画の解説文などがあります。



アナンダトゥーラ夫妻の碑文(1223年)
レーミェッナー寺院碑文庫(ミンナンドゥー村)
古期ビルマ文字/古期ビルマ語

大臣と大将軍を兼任したアナンダトゥーラとその妻が、レーミェッナー寺院を建立した事跡を記した碑文です。全229行がほぼ一貫した綴字法で書かれており、また当時のビルマ人有力者が積んだ功徳の内容を事細かに記していて、言語・文化の両面から貴重な資料と言えます。



墨文(1768年)
ウインジー寺院
近代ビルマ文字/近代ビルマ語

タウンビー村とウェッチーイン村の中間、バガン=ニャウンウー道路から北に入ってエーヤーワディー川に至る道の途中にあるウインジー寺院内壁の墨文です。字形は現代のビルマ文字とほとんど変わりませんが、声調記号の付け方に現代の綴字法との違いが見られます。