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出土史料で秦漢の法制史を読み直す
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講演者: 陶安 あんど
(アジア・アフリカ言語文化研究所准教授)
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要旨: 従来の秦漢法制史研究は、『漢書』刑法志に伝えられる文帝の刑制改革を軸に組み立てられてきた。肉刑の廃止と有期労役刑の導入という刑制の大転換が、恰も聡明な君主の一枚の詔によって成し遂げられたかのような法律万能主義がそうした研究に感じられる。しかし、肉刑の廃止は戦国時代からの趨勢であり、すでに秦において肉刑は形骸化している。また、懲役何年と単刀直入に定められる有期刑の創設は、刑法志の原文から読み取れず、他の史料から判断して文帝の刑制改革に数百年も遅れて始めて旧中国の制定法に登場する。本報告は、秦漢の出土史料に基づいて『漢書』刑法志の関連箇所を読み直し、大局的な視点から秦漢法制史の再構築に挑む。 |
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