講演の概要:
本発表では、北アメリカ先住民諸語のうちのセイリッシュ語族について、特に発表者が現地調査を続けてきたスライアモン語を中心に概観し、研究動向について報告する。セイリッシュ語族は北アメリカ北西海岸地域において話されている 23の言語からなる語族であり、古くは F.ボアズ、E.サピア、M.スワデシュらが調査し、いわばアメリカの言語学・人類学を育んだ語族、そして地域である。セイリッシュ語族の言語は、一般言語学的にも興味深い言語現象を多く見せる。そのなかでも本発表ではセイリッシュ語の品詞分類について注目する。セイリッシュ語では、名詞と動詞の区別がないとしばしば言われてきた。この現象に関する研究ではその区別があるということで一応の決着を見ているが、そもそも何故このようなことが問題になるのかを概説し、そして、その区別があるという結論で本当に良いのか、本発表では問題提起もおこないたい。
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