2008年度第1回AA研フォーラム


敦煌出土文献の
由来と性格



講演者:今枝由郎 氏

(フランス国立科学研究センター研究ディレクター、 AA研客員教授)



日時:2008年4月17日(木)15:00〜17:00
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
      3階マルチメディア会議室(304)

入場無料・予約不要


要旨:シルクロードのオアシス都市敦煌(中国甘粛省)郊外にある 莫高窟(ばっこうくつ)の石窟群の一つから出土した中国語、チベット語 をはじめとするアジアの諸言語、諸文字で書かれた数万点の写本は、 中央・東アジア研究にとっての20世紀最大の発見である。しかし、 これら文書がどういう性格のものであり、いかなる理由で、どのよう にして11世紀初に封印されたのかは、いぜんとして謎である。 敦煌は、786年から848年に至る60年余の間、当時大唐帝国の最強 のライバルであった軍事国家吐蕃(とばん)すなわちチベットの占領下 にあった。この歴史的事実をふまえて、敦煌文書の由来と性格を検討 してみたい。