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北大王墓誌 契丹文字面の写真画像処理
■契丹文字
北

パネル画像
▲北大王墓誌の一部
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 これまでに数多く発見されている契丹国(遼朝)時代の墓誌は、漢文によって書かれていますが、契丹文字による墓誌も見つかっています。契丹文字は、漢字を模した「大字」と独自の要素が集合して1文字を形成する「小字」を持ち、ともに碑文例が残ります。また、漢文と契丹文が対をなす合璧の墓誌もいくつか知られており、契丹文字解読の手かがりとなる資料として注目されています。この北大王墓誌も、その代表的な資料のひとつです。契丹文字は完全な解読には至っていませんが、こうした合壁資料を手がかりとして、長期的に研究を進めていく必要があります。
 これらの石刻資料は、今後劣化が進む可能性もあります。貴重な文化財でもあるオリジナル資料の保存という観点からも、写真による記録保存も重要です。
撮影した写真に画像処理を加えて解析することにより、重要な研究データが得られます。例えば、斜め方向から撮影した北大王墓誌の契丹(大字)文面の写真を、実寸に比例した正面観の写真として補正し、特殊な画像処理を行うことで、左に示した写真のように、刻字の深さが立体的に把握でき、拓本では明確に把握できない字体や運筆の方向等も看取することが可能となりました。
 画像処理の技術のほかに、撮影した写真から精密な図面を作製する技術も確立されており、近年は主に文化財調査の分野では広く利用されています。この手法は、ステレオ写真技法の応用により、被写体について60%程度ずつ重ね合わせた2枚の写真を撮影し、同時に撮影の焦点距離や被写体の寸法等を測っておき、それらのデータと写真を使い解析図化機によって図面化するのです。
 こうした最新技術を活用して基礎資料を保存・整理し、資料の情報を十分に引き出した分析を行うことが可能となります。また、後世にも重要な研究成果を伝えていくことができるのです。