イブン・トゥールーン・モスクの大ミナレットと外側の一部


6-4 (no. 29) イブン・トゥールーン・モスクの大ミナレットと外側の一部
the great minaret & part of the exterior of the mosque of tooloon リトグラフ、ラグ紙
リトグラフ、ラグ紙


 868年、エジプト総督に任じられたイブン・トゥールーンは、やがてシリアにまで領土を広げ、事実上の独立政権を築いた。アッバース朝の都サーマッラーにならい、らせん階段を外に配した独特のミナレットで有名なイブン・トゥールーン・モスクは、彼が支配したエジプトとシリアの富の象徴と言ってよかろう。トゥールーン朝の滅亡後、ここはメッカ巡礼に向かうマグリブ人ムスリムの宿となり、マムルーク朝期の大改修によって学寮となった後も、留学生を多く抱えるマグリブ人社会の拠点となった。カイロが建設される以前から天に向かってそびえ立ち、人々を見守ってきた大ミナレットには、未来永劫この町の生き証人でいてほしいものである。