カイロ近郊グユーシー地区のモスク


6-3 (no. 28) カイロ近郊グユーシー地区のモスク
mosque of el-guyooshee near cairo
リトグラフ、ラグ紙


 18世紀までムカッタムの丘は「グユーシー山」とも呼ばれていた。ハルワティー教団のスーフィー3人が共同で建設した修道場と墓廟(シャーヒーン・アルハルワティー・モスク)は、16世紀以来、この丘の中腹に独特の雰囲気を漂わせてたたずんでいる。手前でくつろぐ一団は、左手にハエ追いを持ち、お茶のサービスを受ける男がホストらしい。奥に休んでいるラクダを覆う煙は、ラクダ追いが煮炊きする煙か。色彩の真偽は別として、伝統あるカイロっ子のピクニック風景を切り取った1枚である。150年後、モスクは廃虚と化し、丘に造られた階段も崩壊したものの、手前一面には墓地が広がる。幹線道路から離れていても、ここは今や庶民の居住区なのである。