大アズハル・モスク正門


6-2 (no. 27) 大アズハル・モスク正門
principal entrance to the great mosque el-azhar
リトグラフ、ラグ紙


 創設以来千年を経た今日でも、イスラーム教学の最高峰として揺るぎない権威を保つアズハル学院は、もともと新都カイロの象徴としてファーティマ朝が建設した大モスクに付随する学寮であった。この機構に属する学者の協力なくして、安定した統治はあり得ない。裏を返せば、その政府に対する影響力ゆえに、アズハルは常に民衆の要求を代弁するよう期待される組織でもあったのである。18世紀まではここに描かれた門も民衆の抗議行動の際にしばしば閉じられ、権力に対する異議申し立てがなされた。平時の正門前で客が求めたのは水か、ジュースか。だが、何より不思議なのは左端の男である。ここまで来てモスク外で礼拝するのはいかにも不自然ではなかろうか。