カイロのスルタン・ハサン・モスク


6-1 (no. 26) カイロのスルタン・ハサン・モスク
the mosque of soultan hassan-cairo
リトグラフ、ラグ紙


 ミナレットの高さ86m。スルタン・ハサン学院は、イスラーム建築史を代表する建造物である。1348年、西アジア一帯を襲ったペストはカイロだけでも1日2万を超す犠牲者を出し、スルタンのもとには相続人さえも亡くした莫大な資産が残された。この死者たちの遺産がなかったら、斜陽のマムルーク朝スルタンに大モスクを建設する余力はなかったに違いない。大モスク周辺にはやがて門前町が生まれ、正面のルマイラ広場はラクダと穀物取引の中心、さらにはメッカ巡礼の出発点となる。一方、大城塞の真下という特異な立地条件から、ここはしばしば反乱軍の結集地と化し、大城塞との間で撃ち合いが行われたこともあった。周囲の空堀は往時の名残りである。