カイロの奴隷市場


5-4 (no. 25) カイロの奴隷市場
slave maerket, cairo
リトグラフ、ラグ紙


 1830年代には、毎年1万人以上の黒人奴隷がスーダンからもたらされた、マムルークに代わる新たなエジプト兵、さらには綿花栽培の労働力として使用するためである。スーダンからの奴隷は象牙やダチョウの羽など高級産品とともに、ダール・フールを起点とする「四十日路」を運ばれ、ハルガ・オアシス、アシュートなどの市場で売りに出されながら、最終的にはここワカーラ・アルガッラーバに到着した。ここは19世紀エジプトにおける最大の奴隷市場である。画家が描いた女奴隷はもっぱら家内労働に従事させられることになろう。ハーン・アルハリーリー近くのこの場所には、今も隊商宿につながる階段跡と地名が残り、住民にも長距離交易の記憶が生き続けている。