ガマーリーヤ地区の風景、ズール・ファカールのワカーラ近辺


5-3 (no. 24) ガマーリーヤ地区の風景、ズール・ファカールのワカーラ近辺
view of the jemaleeyeh, near the wekaleh of zu-l-fakar
リトグラフ、ラグ紙


 隊商宿(ワカーラ)は長距離交易の象徴である。マムルーク朝期、オスマン朝期を通じて紅海貿易の拠点になったガマーリーヤ地区には、多数の隊商宿が造られた。当時、カイロ市内でコーヒーや香辛料を扱っていた隊商宿62軒のうち、12軒までがガマーリーヤ地区にあったという。また、この地区には大きな穀物市場も存在していた、ここに描かれたのはバイナル・カスラインの一角で、もともとはファーティマ朝の大宮殿があった所である。近くの隊商宿まで長旅をして来たのか、奥にラクダが見える。なお、写真正面に見える隊商宿の中央入口が往時の繁栄を今に伝えているが、タイトルにある17世紀建築ズール・ファカールのワカーラは現存しない。