ハーン・アルハリーリー


5-2 (no. 23) ハーン・アルハリーリー
khan el-khaleelee
リトグラフ、ラグ紙


 1382年にスルタン・バルクークの厩長ジャカス・アルハリーリーが建てた隊商宿(ハーン)の周辺は、ペルシア商人が商う高級インド産品をてこに活気溢れる商業地区となり、16世紀初頭には政府による再開発の結果、一大商業センターへと脱皮した。言わずと知れた巨大スーク、ハーン・アルハリーリーである。このスークの繁盛ぶりは、右の絵中央に描かれた抜き身の刀を売る男の動きから見て取ることができよう。一方、左の絵は比較的ひなびた通りを描いたもの。静と動、市場の両面を描こうとした画家の想いが伝わって来る2枚である。さて、左の絵中央に描かれた子供はべん髪のうえ裸のように見えるが、これは真実の描写であろうか。いや東洋趣味の産物かもしれない。