ムザッファルの墓廟と給水泉


4-3 (no. 18) ムザッファルの墓廟と給水泉
tomb & fountain of el-mudaffar
リトグラフ、ラグ紙


 ズワイラ門を抜けて真っすぐに南下する道は、ファーティマ朝期、城外のメイン・ストリートであった。しかし、アイユーブ朝以降市域が拡大するにつれ、この道は幹線としての重要性を失う。14世紀にカイロ初の石のドームを付設したことで名高いムザッファルの墓廟も、18世紀の建築様式を今に伝えるユースフ・ベイの給水泉も、今はただ時の流れに取り残されるばかりである。概して活気が感じられないこの画集の中でも、特にここに描かれた人々が疲れた印象を与えるのは気のせいであろうか。マグリブからの旅行者か、フード付の服を着たロバ上の人も心なしか沈んでいるように見える。ヤシ籠に乗せたパンの買い手はいつになったら現われるのだろう。